ミテンの本棚 > 体で感じる・心が育つ | ||||||
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![]() 「あなたは褒められて伸びるタイプですか? それとも、叱られて伸びるタイプですか?」 そうたずねられたら、どう答えますか? 私の場合は、褒められて伸びるタイプです。 でも、考えるのです。はたして、叱られて伸びるタイプの人なんているのだろうかと。子どもばかりか大人でさえ、褒められたほうが嬉しいですから、人は、褒められた方が、絶対にいい結果をもたらすと思います。いや、つい最近までそう思っていました。 何がきっかけだったかは忘れたのですが、私は、自分がこれまでの人生で何かを成し遂げたときに、どういう状況にあったか、考える機会がありました。そして、思い起こしてみると、その状況は、どちらかというと、悔しい思いをして一念発起した、そんな状況ばかりだったことに気がついたのでした。 ![]() 悔しい思いをしたり、何らかの事情で、前に進むことを断念せざるを得なかったり、そんな思いをしたときに、私は、自分の人生における転換期を迎えてきたことがわかります。そう考えると、人が成長を遂げるきっかけとなるのは、壁にぶつかったり、挫折を経験した時、ということになりそうです。 「我が家では、できるだけ子どもたちを褒めて伸ばすようにしています。」 家庭ではそうできたとしても、学校や社会では、家庭にいるときと同じように褒めてもらえるとは限りません。また、同じように教師が叱っても、いつも家で叱られている子どもは、ちょっと叱られたくらいでは何の効き目もないだろうし、余り家で叱られた経験のない子どもは、教師のいつもとは違う形相を見ただけで、ショックを受けてしまうかもしれません。 ![]() 子どもたちは放っておいても、外の世界に大きな好奇心を抱きます。かつてのコラム「愛すること&愛されること」(コラム№16.2009.6/1)でも書いたように、子どもは、親との関係、ことに母親との関係においてそれなりに信頼を確立できると、母親から離れて、ちょっと冒険をしてみようと試みます。母親以外の人間との関係に興味が出てくるからです。もし、その興味の結果、多少の芳しくない思いを経験しても、子どもはいつでも、母親のもとへ帰ってくることができ、その心は癒されます。そうしてまた、別の人間への興味を抱くのです。そうやって、子どもの人間関係は広がっていきます。だから、母親との信頼関係はとても重要になります。 いつ何が起こっても、母親という、帰って来れる場所が確保されるからです。「ぼくが目を離したら、お母さんはどこにいってしまうかわからない」子ども心にそんな不安を抱えていると、子どもは親から絶対に離れようとはしないでしょう。 子どもたちは、日常生活においてたくさんの試練にさらされます。しかし、お母さんとの信頼関係さえ築かれていたら、子どもたちはいつどんな世界に飛び込んでいやな経験をしても、お母さんという絶対信頼の置ける基地に戻って、癒され、力を蓄え、また飛び立っていけます。そして、次に飛び立つときには、以前よりももっと心が強くなっているのです。 ![]() 「挫折」というと、以前はとてもマイナスの響きを感じました。しかし、さまざまな経験を通して、挫折がもたらす、その先に存在する「成長」を実感することができたら、挫折とは、自分の現在持っている力では成し遂げることが困難な挑戦をした時に経験するものだ、と理解できます。現状に満足し、成長を臨まなければ、挫折も経験しないからです。 子どもたちは、毎日、挫折を経験しています。体も心も成長しているのですから、できないことへの挑戦の連続だらけです。でも、不思議とへこたれていないのは、挑戦することが楽しいからです。「これはなんだろう?」「やってみたらどうなるんだろう?」そんな好奇心が、「どうせやってもできないし・・・」そんなあきらめの心に勝っているのです。 ![]() 母親という信頼できる基地を飛び立っていくことに子どもたちが躊躇しているときは、飛び立たせるための魔法の言葉があります。それは、「あなたならきっとできるよ」という言葉です。 ![]() こうして、いくつもの挫折を経験して、子どもたちは成長していきます。そして、いつかは必ず、魔法の言葉をかけてもらわなくても、自分自身の力で達成感を味わうことができるようになるのです。だから、子どもに挫折を経験させることを、親自身が恐れないことです。 *写真は、「寒い冬の中で、春を待ち焦がれて咲く花たち」です。 |
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2014-03-03 更新 | ||||||
2007
| 12
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著者プロフィール | ||||||
原田 京子(はらだ きょうこ) 1956年宮崎県生まれ 大学院修士課程修了(教育心理学専攻) 【著書】 児童文学 『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店) 『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店) 『アイコはとびたつ』(共著・国土社) 『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート) エッセー 『晴れた日には』(共著・日本文学館) 小説 『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社) 『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社) *********************** ※ブログのアドレス(※モバイルでは正しく表示されない場合がございます。 ) 「彩木瑠璃の癒しの庭」 http://ameblo.jp/akylulu/ 「彩木瑠璃の心の筋トレ」 http://blog.livedoor.jp/saikiruri/ 「ラピスとめぐる世界の旅」 http://lulu.blogzine.jp/ |
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