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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.160 子どもたちにとって大切なこと
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 今年最初のコラムで、
「子どもたちは歴史上初めて、成長したときどんな世界になるのか分からない時代を生きるのです。将来働く環境や人々の絆がどんなものになるのか想像もつかないのです」。
 そんな、歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏の言葉を紹介しました。
 想像もつかない世界を生きるなんて、考えただけで恐ろしい気がします。
 ただでさえ悩み多き子育てにおいて、これから行くべき未来が見えない子どもたちをどう育てていったらいいのでしょう。

 さて、考えてみると、ほんの数年前、地球上が現在のように新型コロナウイルス禍におかれることを誰が想像したでしょうか。私たちは、これまでとはまったく違う生活様式を要求され、まさにパラダイムシフトを余儀なくされています。人と接触することを避け、あらゆる行動が制限される中で、心の病を抱える人も少なくありません。
 でも、環境がどうあろうと、そこでたくましく生きていける人がいるのです。同じ環境に置かれながら、心を病む人とたくましく生きていける人、どうしてそんな対極の生き方が存在するのでしょうか。
 私は思うのです。そんな生き方の違いは、子どもの頃に置かれた環境、そして、親の育て方にあるのではないかと。

 哲学者の内田樹(たつる)氏はいいます。
「今の親たちは目の前の社会のあり方を見て、子供に英語教育をしたりプログラミングを学ばせたりしていますが、それらはすべて社会のシステムがこのまま続くことを前提にした「平時のスキル」です。
 でも、今、親たちが「実学」と呼んで子供に習得させている知識や技術のうち、20年後も「それで食える」ものがどれだけあると思いますか? これからはどういう職業に対して社会的ニーズがあるのかまで考えている人は「実学」志向の親たちの中にはほとんどいません。親たちはとりあえず「みんながやっていること」を自分の子供にもやらせようとします。でも、「みんなができること」しかできない子供は将来の職業選択に際して、競争倍率の高いところに自動的に追い込まれる」と。

 これからの時代、学力も偏差値も関係のない時代がくるかもしれません。いや、もう、そんなものはとっくの昔に通用していないのかもしれません。
 コラム№131『鳶は鷹を生まない』でも書いたように、一流大学を卒業することが、すなわち将来の幸せや成功を保証してくれるとは限らないからです。ですから、必死で受験勉強をして一流の大学に入ったからといって、将来を約束されるとはいえないのです。それどころか、大切な時間を受験勉強に奪われ、そのときどきに学ぶべき事柄を学ぶことなく一流といわれる大学に入っても、卒業後に使い物にならないのです。 
 つまり、大学受験合格を目標にしていては、大学に入ったとたんにその目標が達成され、次には何をしたらいいのかわからない、という学生がたくさんいるのです。一流大学に入り、その大学を卒業して、さらに社会に出て第一線で大活躍できるのはほんの1割程度、あとの9割は、一流大学を出たけれど、となってしまう、ということです。

 それでは、学力も偏差値も関係なく、どんな環境下においてもたくましく生きていける、そんな子どもが育つ教育とはいかなるものか?そんな心身ともに健康で、将来に夢を持って生きていける子どもに育てるにはどうしたらいいのか?
 先述のハラリ氏はこんなヒントをくれています。
「成長したときどんな世界になるのか分からない時代に生きなければならない子どもたちにとって最も大切なことは、自分自身を知ることだと思います。月並みかもしれませんが、自分が何者であるのかを理解することです。テクノロジーを追い求めるだけでなく、現状に満足する方法を学び、自分の内なる考えを深く理解することに時間を使うべきなのです」。

 また、『バカの壁』の著者である医学者の養老孟司氏も、
「ゲームもスマホもマンガも取り上げて、自然の中に放り出しておけば、そのうち退屈した子供たちは何か観察対象を探し出す。植物を見る子、虫を見る子。雲や星や波を見る子もいる。自分で選んだ対象をじっと観察しているうちに、ランダムに見える変化の中に一定の法則性があることに気づくのです」といいます。

 そして、もう一つ、子供の能力を引き出すときに必要なのが「何もない空間」であるというのです。今の教育は、むりやり芽を引っ張り出したり、肥料を投与したり、室温を上げたりして、「芽が出る」ように誘導している。でも、芽が出る先にすでに「何か」があったら、本当の意味での「創造」は起きないというのです。
 何もない環境下で自分自身を見つめる。大自然という大きな存在の中に身を委ねて観察する。その大切さに気づいているか否かで、子どもたちをどう育てていけばよいのかの方法論がちがってくるのかもしれません。そして、子どもたちがそんな環境下で何かを見つける。それがその後の未来に大きく関わってくるのです。そして、これまでのコラムで常にいい続けてきたこと「好きなことを見つけること」「そして、それを続けること」につながっていくのだと思っています。

 しかし、自分の好きなことを見つけること、自分が何をやりたいかを知ることは、案外難しいことであるのだということに最近気づきました。だから、子どもたちにその手助けをするためにどんなことが必要なのかを、次回のコラムで考えていきたいと思います。
2021-06-01 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)
『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集)
『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集)
『四季通り路地裏古書店』(2019みやざきの文学「第22回みやざき文学賞」作品集)




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