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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.10 目に見えないものを信じること
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 全国学力テストが実施され、秋田県は、小学6年生で全科目1位、中学3年生でも全科目3位以内という優秀な成績でした。40年位前から「秋田式」と呼ばれる教育方法に取り組み続けてきたことが、見事に実を結んだのでした。この方法は、「家庭学習の強化」や「きめ細かな指導」によって、「子どもが自ら学ぶことができるようになる」ということを目標とするものでした。しかし、これといって新しくもないごく当たり前に思えるこれらのことを実行することが、どうして、素晴らしい結果を導き出したのでしょうか?

 昭和30年代の終わりに、子どもたちの成績低迷に苦慮していた秋田県は、教育の原点に戻り、「自ら考えて学ぶことができるようになる」ことこそ、子どもにとって大切なことであり、それを実現するために何をすべきかを考えたのでした。答えがすでに書いてある教科書に頼らずに、自分たちで考えて答えを導き出していく、そうやって試行錯誤を繰り返しながら、教師も子どもたちも、そして、親たちも不安がいっぱいあったことでしょう。
 「当たり前のこと」を「コツコツと続けること」は簡単なよう
に見えてとても難しいことです。しかも、遠い将来に向けて、いつ結果が出るともわからないことを続けることはもっと大変なことです。それができたのは、必ずや素晴らしい結果が出ると信じていたからです。そして、40年かけて見事に結果を出したのでした。

 「目に見えないことの中に真実を見い出し、結果を信じて継続する」ことは、学校教育だけでなく就学前の教育においても大切なことです。とくに、「成績」という目に見える結果が出ない乳幼児期においては、親としては、結果が目に見えるほうが安心だし、少しでも有益だと思えることを、出来るだけたくさん子どもに覚えさせたいと思うでしょう。
 しかし、目に見えないことにこそ、大切なことが隠れているのです。親である私たちの目に見えないというだけで、着々と子どもの中に育ち始めている子どもの可能性の芽を、摘み取ったりしては大変です。ことに、自然は子どもにとって大きな意味を持ちます。以前のコラム(「さあ、夏休みだ!」)にも書いたように、大人にとって何の価値もないように思える、「チョコレート色の水溜り」や、「だんご虫の小さな塊」からも、子どもたちは様々なことを学んでいくのですから。

 「小さい頃から自然に触れて、人間としての土台をきちんとつくりあげることが大切である」として、ノーベル化学賞受賞者の野依良治博士は「センスオブワンダー」の重要性を説いています。人工では作ることのできない教材がたくさん存在する自然の中で、いろいろな場面にでくわし、子どもたちはそのたびにどうしたらよいのか、自分で判断したり、葛藤したりする機会が与えられます。こうして、子どもたちは、鋭い観察力と、感覚を養っていくのです。「自ら考えて答を導き出す」という力を養うためには、目に見えないものの中に真実を求め、目には見えないものを信じて結果を待つことが大切なのです。

 センスオブワンダーとは「美しいもの、未知なるもの、神秘的なものに目を見はる感性」のことです。私は15年ほど前に「センス・オブ・ワンダー」(新潮社)という本に出会いました。その時、この本を読んで感じたことと、現在また読み返して感じることが不変であるということは、この本に書かれていることが、いかに普遍で永遠であるかを物語っていると思います。「沈黙の春」という本でも有名なこの本の作者、レイチェル・カーソンは、この本の中で、「子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、私たちの多くは大人になる前に澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます」と述べています。自然の中での日々の暮らしにおいてまのあたりにした幼い甥っ子の瑞々しい体験と、美しい風景写真で満ち溢れた本です。

 ところで、もうすぐクリスマスですね。あなたのお子さんはサンタクロースの存在を信じていますか?我が家にも、息子が小学生の間は、クリスマスにプレゼントを持ってきてくれていました。中学生になって、息子がサンタクロースの存在に疑問を持ち、クリスマスイブの夜に、睡魔と闘いながらその姿を見極めようとしたその年を最後に、サンタクロースは我が家にやってこなくなりました。クリスマスは、我が家にとってもとても幸せな日でした。クリスマスの朝、プレゼントを見つけたときの、息子のおどろきと喜びに満ちた笑顔、その息子の顔を見た時の、夫のなんともいえない満足そうな笑顔。そして、その二つの笑顔こそ、私にとって最高のクリスマスプレゼントなのでした。
 サンタクロースって、本当にいるんですよ。目に見えなくても、その存在を信じることこそ、大切なことなのです。

 さて今年のコラムはこれでおしまいです。今回初めて読んでくださった方のために、これまでのコラムのタイトルと、その内容を簡単にお知らせしますね。
1【「根っこ」の大切さについて】「読み聞かせ」の重要性について
(ちなみに秋田県は、読書好きの子供の割合も全国1位でした)
2【海賊に誘拐された息子】息子の初めてのお留守番について
3【新しい年にあたって】私の生き方のテーマと将来の夢について
4【親ばかバンザイ】愛される人間性の育て方と「モノより思い出」の大切さについて
5【生きていてくれるだけでいい】親の見せる背中について
6【さあ、夏休みだ!】かこさとしさんの科学絵本と「突き抜け体験」について
7【相手を思いやる心と江戸しぐさ】私の靴にまつわるエピソードと江戸っ子について
8【本屋さんが一軒もない島】「待つ」という行為に秘められた意味について
9【親が子どもに伝えること】亡き父との思い出について
 3でも書きましたが、私は年の初めに、その年の生き方のテーマを決めています。一昨年は「聡明」、昨年は「凛」、そして、今年は「孤高」でした。来年のテーマは何でしょう?

 それでは、すばらしいクリスマスを。そして、よいお年を。
2008-12-01 更新
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