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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.45 「 沈 黙 は 金 」
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 9月29日に、夫の母が逝きました。88歳の生涯でした。
 私は母が大好きでした。結婚して30年。私は母からただの一度も、文句や小言をいわれたことがありません。母が、そんな言葉を口にしたのを聞いたことがなかったからでした。だから、私も、ただの一度も、母のことを悪くいったことはありません。悪くいう理由すら存在しなかったのです。
 昨年の夏、不思議なことが起こりました。私は、母と別れ際に、必ずハグをします。昨年の夏も、いつものようにハグをしました。すると、母が、ハグのあとで、私に向かって両手を合わせたのでした。まるで、仏さまに向かってするように・・・。私はその意味を、その時は理解できませんでした。そして、それが、母が元気でいるのを見た最後になったのでした。

 今年の1月に脳梗塞で倒れた母は寝たきりになり、言葉も失いました。それ以来、私は、一方的に母に話しかけることになったのでした。話しかけるたびに、母はこっくりと頷きます。そして、透きとおった瞳で、瞬きもせずに私の顔をじっと見ています。それは、「何もいわなくてもちゃんとわかっているから」そういっているように思えました。
 棺の中の母に最後のお別れをしながら、私は、昨年の夏の、母の姿を思い起こしました。その姿は、あの日以来、私の心に刻まれて、決して消えはしなかったからでした。「ありがとう」母は、そういいたかったのでしょうか? あの日の手を合わせた母の姿。そして、病床において、私をじっと見つめる瞳。私は、その一連の母の姿に、「悟り」を見た気がしたのでした。

 お葬式の時、私は決して泣かないように、そう思っていました。泣き出したら、きっと、もうどうしようもなくなると思ったからでした。どうにか、それができた分、私は今、母を思い出すたびに、泣いています。そして、母の生き方を思い起こすたびに、あることを思うのです。
 母は、口数の少ない人でした。暇さえあれば、畑の草むしりをしていました。私は、その丸まった後ろ姿を見るたびに、母の優しさと、愛情の深さを感じました。後ろ姿ほど、その人の持つ人間性を語るものはないのだ、今、そのことを強く感じています。どんなに雄弁に語ったところで、中身が伴わなかったら、その言葉は何の重さも持たないのです。だからこそ、何も語らなくても、その人間性が魅力的であればあるほど、それは、後ろ姿にさえ溢れ出てくるものなのです。
 私は、この1ヵ月、1年ほど書き続けた4つのブログを更新していません。それは、自分の書いた文章への責任を強く感じるようになったからでした。「毎日更新すること」そのことをノルマとし、それは少しも苦にはなりませんでした。毎日、原稿用紙10枚以上の文章を書くことは日課でしたし、「書きたくなくても書く」ということを自分にノルマとして課すことが、私にとっての大きな力になると考えたからでした。

 けれども、時としてその書かれた文章が、ただただノルマを果たすだけの意味しか持たないこともあり、それでも、私は、ただただ書き続けました。そして、今回、母のことがあって、パソコンから離れる日々が続き、私は、ふと思ったのでした。
 「私が書いた文章は私そのものである」
私が書いた文章は、この一年間で、延べ人数にして何百万という人に読まれています。facebook登録後は、その数がさらに増えました。出会ったこともない数え切れないほどの人々は、私という人間を私の書いた文章で判断するしかないのです。そうなったとき、果たして私は、私の書いた文章に責任が持てるのか?私はそう考えたのでした。「ブログの文章は、いざとなったら削除すればいい」どこかにそんな安易な考えがあったかもしれません。インターネットにつながれたブログ用のパソコン(仕事用のパソコンは別にあります)を開かない日々が続くと、私は、それがなくてはならないものではない、ということに気づきました。そして、今まで見えていなかったことが見えてきたのでした。

 母の姿を思いながら、「どうして私は文章を書いているのか?」そのことをもう一度考えてみたのでした。私が書くべきことは何なのか?そう考えたときに、私には、書きたいことが山ほどあることに気づきました。それらの原稿を整理していたら、原稿用紙1000枚を超えました。他にも、まだまだやるべきことが山積みです。果たして生きている間にこれらのものを、人に見せられる形に完成することができるのだろうか? そう考えたのでした。

 私は、今、作品を4つ抱えています。どれも、私のライフワークとなるべき作品ばかりです。
目の前のたくさんの原稿を前に、呆然としつつ、でも、ひとつずつ整理しているところです。
いつか必ずそれを素晴らしい形で完成させますので、どうか楽しみに待っていてください。
 さて、このところのマイブーム、それは、「中国史」です。DVDで、「三国志」全50巻ほど、お話にして100話近くを見終えました。今は、「孫子の兵法」のDVDを見ています。それらを見て感じたことは、「人は、言葉によって、人を生かすことも殺すこともできる」ということでした。もちろん、これまでも、「言葉の魔力」というタイトルでコラムを書いているように、言葉の持つ力については述べてきていますが、その力が半端ではないことを意識しなおしているところです。だからこその、言葉を越えたものの大切さを感じています。

 現在、中国史に関する本をはじめ、何冊もの本が机の上に山積みになっています。来月のコラムは、いよいよ今年最後になりますので、これらの中国史に登場する策士たちの攻防をもとに、言葉の威力について「悩まない」というタイトルで書こうと思っています。「霧が晴れるように悩みがなくなる」とまではいきませんが、ストレスもプレッシャーもあまり感じなくなり、何のしがらみにも縛られず、虚勢を張ることもなく、自然体で生きられる方法を(現在の私はそうして生きているつもりですが)、少しはお伝えできるかもしれません。

 さて、先月の「私の癒し空間」の写真の答えですが、一番上の写真は、皆さんご存知の「フローランテ:英国式庭園」。花が咲き乱れる春真っ盛りが最高です。二番目は、「春の西都原」。西都原は、私が宮崎で一番好きな場所です。ときどき、お気に入りのCDと本をカバンにつめて、ここに出かけます。お昼にはもちろん、「うなぎ」を食します。三番目は「セレクトショップ:絵梨花」。県庁そばにあります。蔦に絡まった入り口から入ると、そこには、表からは想像もつかない、素敵な空間が広がります。四番目は「新富町の芝桜」。御主人が、目の不自由な奥様のために何年もかけて完成させた、まさに「愛の絨毯」です。五番目は、「シェラトン最上階から見た日向灘」。私は、ここを一人で訪れては、二時間ほどゆったりとした至福の時間を過ごします。全部の写真の場所がおわかりになった方は、かなり私のことをよく知っていらっしゃる方でしょう

2011-11-01 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)

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