西都原考古博物館「国宝金銅馬具類はどのように復元されたか」
全国的にも有名な西都原古墳群を奥の方に進んでいくと、何やら近代的な建物が・・・そう!これが国内最大規模を誇る考古博物館「西都原考古博物館」です。
考古学って聞くとちょっと難しそうなイメージ・・・でも人々が今までどのように生きてきたのか、歴史を知るための重要な学問なんですよね。
今回は博物館で開催中の企画展
「国宝金銅馬具類はどのように復元されたか〜レプリカの世界」
の展示を中心に、西都原考古博物館の魅力をレポートします!
では早速、館内へ。なんと入館無料なんです!
受付には館内マップや資料が置いてあるので、是非ゲットしましょう。詳しい解説を求める方はジャケット型の音声ガイド(有料)がオススメ。また、来館の時にボランティアの方々がいらっしゃれば、案内してもらうことも出来るそうです。
今回館内を案内してくださったのは、西都原考古博物館学芸員の籾木郁朗さん。
籾木さんにはmitenコラムを執筆していただいており、
現在は宮崎県ができるまでの歴史を連載中です。
展示室は建物の地下にあって、1階から長い回廊をゆっくり下って行きます。これは古墳の中へ入っていくイメージになっているそうで、だんだん薄暗くなってきて神秘的。
また、スロープの手すりには写真がはめ込んであって、1cmで10年、全長25mなので2万5千年の歴史を表現しているんですって。写真を見ながら古代へタイムスリップしましょう!
展示物は縄文時代→弥生時代→古墳時代と時代に沿って展示してあって、実際に触って見ることができます。なんと言っても展示室の雰囲気がステキ!薄暗い照明、凝った映像、デザインされたタペストリーなど、大人の方が楽しめる空間になっています。
まさに“大人のデートスポット”!
展示室の中ほどまで来ると、今回の目的の「国宝金銅馬具類」を発見!
復元された「国宝金銅馬具類」は、キラキラしていて綺麗。
裏には実際に発掘された状態ぽいものが・・・実はこれレプリカなんですって。
「本物じゃないのか」とちょっと残念・・・。
籾木さん、なぜ復元品やレプリカを展示するのでしょうか?
「本物は状態によっては非常にもろく、保存環境により劣化するものもあるので、移動させることが出来ないものがあります。本物そっくりに作ったレプリカがあれば、多くの人に本物同様のものを鑑賞してもらえます。復元品は、当時の形を再現することで、より分かりやすく見てもらえます。資料保存と資料情報を伝えるなどの点で復元品やレプリカは必要なのです。
詳しくはmitenコラムで東憲章さんが書かれていますよ。
そして、この「国宝金銅馬具類」ですが、復元に3年、レプリカに4年かかっています。」
えー!合計して7年もかかっているなんて。
本物そっくりに作ることはとても大変な作業なんですね。
ところで「国宝金銅馬具類」って何時代の人が使っていたのですか?
「古墳時代の身分の高い人が、儀式や埋葬の際に馬に付けて使用していたと考えられます。同様の馬具類は全国でも4ヶ所からしか発掘されておらず、その内の1つが西都にあるということは、かなり有力な人物がいた可能性が高いですね。」
そして、実はこれ宮崎県唯一の国宝なんだそう!すごいですね!
最初は本物でなくてがっかりしましたが、復元品やレプリカの必要性を改めて知り、
今回「国宝金銅馬具類」の復元品を見て、当時を想像することが出来ました。
「国宝金銅馬具類」の他にも、土器、石器、木製品、金属製品、文書資料などの復元品やレプリカの展示があり、中には本物とレプリカを比べることもできます。1番目立っていたのは奈良興福寺にある仏頭のレプリカでしょうか。実物と同じ大きさのレプリカなのですごく大きい!つい拝んでしまう方が多いそうです。
展示物を一通り見終わったらエレベーターで3階の展望ラウンジへ。テラスからは壮大な古墳群と豊かな自然を展望できるので、とっても気持ちがいいですよ!冬は草刈りをするので、古墳の形が1年で1番良く見えるんだとか。
また、博物館の隣に見える森。実は日本一の大きさを誇る帆立貝形古墳の男狭穂塚(おさほづか)と九州一の大きさを誇る前方後円墳の女狭穂塚(めさほづか)で、宮内庁が管理しているんだそうです。歴史的価値が高いんでしょうね。
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今回の取材を通して、私たち大人が感じた古代の人々の暮らしや歴史を
次の世代の子供たちに伝えてあげたいと思いました。
企画展「国宝金銅馬具類はどのように復元されたか〜レプリカの世界」は
3月15日(日)まで開催されています。入館無料です。
是非この機会に西都原考古博物館に訪れてみてください。
また、mitenコラムで東憲章さん(県教育庁文化財課)が今回の企画展についての
コラムを書いてくださっているので、こちらも是非チェックしてください。
■籾木郁朗さんのコラムはこちら
■東憲章さんのコラムはこちら
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☆今回の取材先☆
宮崎県立西都原考古博物館
〒881-0005 西都市大字三宅5670番
TEL:0983-41-0041 / FAX:0983-41-0051
http://saito-muse.pref.miyazaki.jp/
開館時間:10時〜18時(入館は17時30分まで)
休館日:月曜日(国民の祝日と重なる時は翌日)
休日の翌日(土曜、日曜または休日にあたるときを除く)
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