世界にひとつだけの母子手帳ケース
こんにちは。ミテン子です。
突然ですが、私は今まで知りませんでした。
母子手帳カバーというものの存在を・・・。
妊娠中に交付される「母子健康手帳」。言わずと知れたものですが、妊娠中の健康管理、そして赤ちゃんが生まれてからの成長の記録や予防接種の記録などを書き込んでいくものです。
子どもを持つ方に聞いてみたところ、乳児期だけに使うものとばかり思っていたらそうではなく、今は小学校に上がってからも予防接種の時などに使うことが多いのだそうです。長期間に渡り大切なお子さんの成長を記録していく母子手帳を、オリジナリティーのあるカバーをかけて使いたいという方は多くいるようです。しかし、母子手帳は自治体ごとに発行されているためサイズがまちまちで既成品ではサイズが合わなかったり、なかなか気に入ったデザインがないという声もあります。
今回、都城市で革製品の製造販売をされている「革のおばさん Cozy」が小林市にある「指定障がい福祉サービス事業所 ふれあいさろん『元気』」と共同で新しい母子手帳カバーの販売を始めたとのことで、早速うかがいました!
ミテン子(以下"M"):脇田さんこんにちは!早速ですが、新商品の母子手帳カバーはどんなものなのですか?
革のおばさんCozy 脇田さん(以下"革"):革の母子手帳カバーに、レーザーで写真やイラスト・文字などを彫刻するものです。
これまでもオーダーで革の母子手帳カバーを作ったことはありましたが、レーザー彫刻の機械を持つ小林市の福祉作業所ふれあいさろん「元気」さんと協力することで、赤ちゃんの写真や名前などをレーザー加工することができるようになりました。
M:すごいですね〜!写真のままに彫刻されるんですね!
革:これはスマートフォンで撮った写真を使っています。(※一番上の写真参照)
出産祝いに贈ったもので、出産後に始めて赤ちゃんの顔を見に行ったときに撮った写真です。贈り物にする場合も、今は簡単に写真が撮れるのでオーダーも楽にやりとりできます。
M:革にこの写真をレーザー加工するわけですか?
革:そうです。写真や文字をきれいに表現できます。高額な機械なので九州にはまだ数台しかないと聞いています。以前からうちの店で、ふれあいさろん「元気」さんの商品(レーザーで文字などを彫刻した木札ストラップなど)を受託販売していました。
M:どういったきっかけで母子手帳カバーに結びついたんですか?
革:本当に偶然なんです。
あるとき、常連のお客さんが結婚することになりました。店に置いていた木札にレーザー加工された物を見て、これで結婚式用のウェルカムボードが作れないかということになり、ふれあいさろん「元気」さんに相談して作ってもらいました。
その後、その方に赤ちゃんが生まれたのを機に、出産祝いを何か贈りたいなと思っていました。
レーザー加工は革をはじめいろいろな素材にもできると聞いていたので、彼女が好きなヒマワリの柄と、赤ちゃんの名前と誕生日を革に彫刻し、母子手帳カバーにして贈ったところ、大変喜んでもらえました。
周りにいる赤ちゃんを持つ人から「私も欲しい!」と言われることが多かったこと、また、調べてみたら、革製の母子手帳カバーはあまりないということから、本格的に商品化に取り組もうということになりました。これがきっかけです。
さて、コラボ作品はどのように作られるのでしょうか?
1.まずは、革のおばさんCozyで、型に合わせて革を切り抜きます。
2.切り抜いた状態の革をふれあいさろん「元気」に送り、レーザー加工を施します。写真や文字データの焼き付け具合の微妙な調整が必要です。
3.レーザー加工が終わると、再び革のおばさんCozyに戻り、革の方の製作に入ります。カバーポケットとなる内側部分を貼り合わせ、縫い付けていきます。
1)糸を通す穴をあらかじめ開けておきます。
2)麻の糸にミツロウを塗ります。こうすると糸の毛羽立ちをおさえ、強度が増すんです。
3)縫う作業は手作業で行います。膝で革を支え、革に開けた縫い穴に右から通し、その後左からも別糸を通して、両側から糸を通して縫い進めていきます。例え糸がほつれたとしても、どの部分からでも縫い直しがきき、修理がしやすいそうです。
4)縫い終わったら、切りっぱなしになっている縁の処理をしていきます。コバという革の切り口を滑らかにする作業です。やすりで丸くカーブがつくように削っていきます。
5)糊を縁に塗り込みます。毛羽立ちが押さえられ、貼り合わせが分らない程になじんでいきます。
4.そして遂に完成です!
都城と小林をいったり来たりして、大切な世界にたった1つだけの母子手帳カバーが出来上がりました!
作業はスムーズに進みますが、女性にとっては結構体力が必要な工程もありました。
華奢な体格の脇田さんですが、腕力には自信があるそうですよ!?
こうして作られた母子手帳カバーを既に利用している方からは、丈夫な点や革独特の風合いが好評だそうです。内側には、診察券を入れるための差込み口もあります。病院の受付などで、母子手帳がたくさん並んでいるときにも革素材が目立つので「あれが私のだ♪」と分かって取り間違いの防止にもなります。
データがあれば、ご自分で書いたイラストなどもレーザー加工できるそうです。文字フォントも選択肢が20種類もあるので、自分の好みで選べるのは嬉しいですね。
(※基本は片面のみの彫刻となります。写真によっては彫刻に向かないものもありますので、詳しくはお問い合せください。)
「オーダー」と聞くと価格面も気になるところですね。嬉しいことに、価格はなるべく抑えて設定したそうです。【基本オーダー価格:5800円】
お友達と一緒に出産祝いを贈ろうとする時にも、お求めやすい価格にと考えたそうです。
そのうち、レーザー加工分の売上げは、ふれあいさろん「元気」の作業所を利用している方に全額還元されます。
赤ちゃんの誕生という嬉しい節目に購入する物が、別のところでも何かの役に立つ、それはこの商品のもう1つの特徴とも言えるでしょう。
今回は母子手帳ケースをご紹介しましたが、何を彫刻するか、どんな革に彫刻するか、彫刻した革でどんな製品を作るか、糸の色、どんなパーツをつけるか・・・と様々な応用がきくため、これからどんなコラボレーション作品が作られるのか注目です。
オーダーで作られるこの作品。次の新商品のアイディアは、あなたがきっかけとなるかもしれませんよ!?
■革のおばさん Cozy
都城市の革製品の製作販売店。
店主の脇田恵子さんの革との出逢いは約8年前。以来、本やネットを駆使して独学で基礎を学ぶ。女性ならではの観点で提案するオリジナリティーのある作品が好評を得ている。
[住所]宮崎県都城市南横市町4009-8
[電話番号]0986-26-5401
[HP]http://cozy1018.info/
ミテンにも掲載中!
■指定障がい福祉サービス事業所 ふれあいさろん「元気」
布製品のリユースによる縫製作品作成作業やマイ箸作成及び地球環境保護を目的とした作品等の各種就労支援を実施。
※ふれあいさろん「元気」”を利用されている利用者さんの「工賃アップ」に挑戦するために、付加価値の高い各種事業の開発に取り組み中!そのうちの1つに、レーザーを使った彫刻サービスがある。
[住所]宮崎県小林市細野2011-25 片平ビル1F
[電話番号]0984-24-1533
[HP]http://www.m-genki.net/Genki.net/index.html