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宮崎、歴史こぼれ話
科学技術の発展を別にすれば、武士や庶民の生き方考え方などは現代と同じ。民俗的視点から学校の歴史学習では習わない当時の人々の生活を紹介します。
 
No.136 白髭神社の竜神祭
前 田 博 仁 ( 宮崎民俗学会会長 )
 蛇は水を好み渕や沼、池に棲み、大蛇は龍神となり水神と崇められた。高鍋藩では湖水(新富町水沼神社)や白髭神社(川南町)の竜ヶ脇(たつがわき)、それに比木神社(木城町)蛇ヶ渕で、雨乞祈祷が行われた。
 江戸時代、竜ヶ脇では雨乞祈祷が行われた記録を示すと、

「寛政6年(1794)6月20日、白髭竜ヶ脇にてご祈雨」
「寛政9年(1797)閏7月5日、白髭竜ヶ脇にてご祈雨」
「寛政10年(1798)6月24日、尾鈴ならびに竜ヶ脇にてご祈雨」
「寛政11年(1799)6月21日、尾鈴で祈雨速水が差し越す、竜ヶ脇へは小田勘解由が差し越す」
「文化元年(1804)6月19日尾鈴へ内田主水、竜ヶ脇へは速水が雨乞いのため差し越す」(※1)

 祈雨とは雨乞祈祷のこと、尾鈴は領内最高峰尾鈴山(1405m)のことで、雨乞祈祷が頻繁に行われた高鍋修験の霊峰とされている。速水、小田勘解由、内田主水は藩要職の人物。
 今回竜ヶ脇で実施された竜神祭を報告する。湖水での雨乞祈祷は「宮崎、歴史こぼれ話(124)雨乞祈祷が行われた水沼神社」で報告済み。

 令和3年1月19日、川南町白髭神社の竜神祭・不動明王祭に同行させて貰った。祭りが行われるのは竜ヶ脇という神社の西方3km離れた山中にある滝、神事は滝壺脇で斎行された。

 林道を凡そ10分走行竜ヶ脇の上に着く。一行は太鼓や御幣、供物を分けあって背負い急な細道を下る。クヌギなどの枯れ葉が道を覆っており滑り易く、「気をつけて歩け、踏み外すと滝まで落ちるぞ」の声。急斜面を激しく流れ落ちる二の滝が見え、間もなく一番上の滝の滝壺に着いた。そこが標高200m程に位置する竜ヶ脇。落差15m程冬季にしては結構多い水量が径10m位の滝壺に落ちる。三方が崖で覆われた滝壺は青く澄み、大蛇棲むという村人たちの言い伝えを否定できない雰囲気を醸す。滝壺水面から1m程の岩場に水神の祠、滝上部近くには石造不動明王像が祀ってある。参加者は手分けして祭壇を設え、果物や野菜、卵など供物を配する。1人は崖をよじ登って滝を超え数m下り、不動明王の両脇に奉じてあった昨年の御幣と今年の御幣を取り替えた。

 神事(祭主、権禰宜篠原正光氏)は先ず禊祓詞を奏上、終わって祭壇や参加者を祓幣で祓い、次に祝詞奏上して玉串奉奠、続いて不動明王真言、最後は般若心経であった。神事が済むと供物を滝壺へ投入する。最初は生卵(2パック)、蛇が好むからか。果物や野菜、菓子など次々と投げ入れ、卵以外は水面に浮き、流れに従って二の滝へ続く沢に流れてくる。参加者は水神のお裾分けと有り難く拾った。
 竜神祭りは恙無く終わり、今年の夏稲作には潤沢な降水があることが約束され、豊作は間違いないと明るい心で帰途に就いた。

【資料】
白髭神社は川南町大字川南字白髭に鎮座、伊邪那岐命、猿田彦命など祭神とする。創立不詳。江戸時代は白髭大明神と称し社領4石5斗を給う。明治初期多賀神社と称するが昭和6年白髭神社と改称した。竜ヶ脇には不動明王を祀り神事では般若心経、不動明王真言を奏上、神仏混淆であるのは修験宗興福寺という神宮寺があったからである。
 白髭神社の滝は最も上が竜神祭が行われた滝、続いて斜度45度位の二の滝、その下に三の滝があり全長200mの滝という。
2021-03-23 更新
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著者プロフィール
前田 博仁(まえだ ひろひと)
昭和40年宮崎大卒。県内小学校、県総合博物館、県文化課、県立図書館を歴任、平成15年宮崎市立生目台西小学校校長定年退職。現在、宮崎民俗学会会長、宮崎県立博物館協議会会長、
(県)みやざきの神楽魅力発信委員会副委員長、(県)伝統工芸品専門委員、
(県)神楽保存・継承実行委員、「米良山の神楽」記録作成調査委員

【著書】
『近世日向の仏師たち』(鉱脈社)
『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社)
『近世日向の修験道』 (鉱脈社)、他

【共著】
『宮崎県史 民俗編』
『日之影町史』
『北浦町史』
『日向市史』
『みやざきの神楽ガイド』
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