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宮崎、歴史こぼれ話
科学技術の発展を別にすれば、武士や庶民の生き方考え方などは現代と同じ。民俗的視点から学校の歴史学習では習わない当時の人々の生活を紹介します。
 
No.34 犯罪者の国外追放は考えもの
前 田 博 仁 ( 宮崎県民俗学会副会長 )
 平部きょう南(*1)は天保12年(1841)2月、27歳のとき藩主に100日の暇を乞い九州各地に旅立っている。単なる物見遊山ではなく地方の知識人・文人を訪ねて話を聴く、又は各藩の庶民生活や藩政を見分する旅であった。

 2月15日、飫肥を発ち藩境の牛ノ峠を越え、寺柱番所(三股町)から薩摩藩に入る。鹿児島城下の文人を尋ね、熊本・福岡とほぼ九州を巡る。5月8日小野市(大分県佐伯市)を発ち梓峠を越え、八戸(延岡市北川町)に下る。そこで舟を雇い延岡城下まで下って、そこに泊ることにした。
 すると旅館の年老いた女主人が「どこの国(藩)の人ですか」と訊く。「飫肥の者だ」と答えると「飫肥の者は油断できない」という。
 「何故にそういうのだ」と問えば、「これまで多くの飫肥の者を世話してきたが、盗みをするか博打を打つか、はたまた出奔するか、無傷の者は一人もいない。誠に飫肥は評判の悪い国である」という。
 余(きょう南(*1))、笑って「飫肥の者すべてがそのような者でない。ところでその世話をした者はどういう者か」と訊くと、それらは飫肥で犯罪を犯し国外追放に処せられた輩であった。
 それで思うに、悪者の追放の刑はただ隣国に害を与えるだけでなく、その者が他藩で悪事を行い、出身藩の悪評を広く宣伝させるようなものだ。そして結果的には飫肥藩の評判を落とすことになるということに気付いたのである。それで藩の指導者はそのことを十分考えておくことが肝心だ、と記録している。

 平部きょう南(*1)は後に飫肥藩家老となり、幕末動乱期の藩政を無難に治めている。延岡で屈辱的な話を聞いて、藩政のあるべき姿の一端を考察している。家老になる器量を27歳の若い頃から備えていたことが窺える。

*1「きょう」は山偏「山」に「喬」と書く。
2012-08-22 更新
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著者プロフィール
前田 博仁(まえだ ひろひと)
1942年宮崎市生まれ 宮崎大学学芸学部卒 県内小学校、宮崎県総合博物館、県文化課、県立図書館、宮崎市生目台西小学校校長等歴任、定年退職後きよたけ歴史館館長
現在、宮崎県民俗学会副会長、清武町史執筆員、県伝統工芸審議会委員

【著書】
『鵜戸まいりの道』(私家版)
『歩く感じる江戸時代 飫肥街道』(鉱脈社)
『近世日向の仏師たち』(鉱脈社)
『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社)
【共著】
『宮崎県史 民俗編』
『日之影町史 民俗編』
『北浦町史』
『日向市史』
『角川日本地名大辞典 宮崎県』(角川書店)
『郷土歴史大事典 宮崎県の地名』(平凡社)
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