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宮崎、歴史こぼれ話
科学技術の発展を別にすれば、武士や庶民の生き方考え方などは現代と同じ。民俗的視点から学校の歴史学習では習わない当時の人々の生活を紹介します。
 
No.150 薩摩かくれ念仏と日向3
前 田 博 仁 ( 宮崎民俗学会会長 )
 一向宗禁制は古文書にもみえる。上井覚兼は天正13年(1585)9月15日の肥後隈庄において、
「当所なと皆々一向宗と聞得候、然者此前より之事に候条、無届ニ御成敗ハいかゝに候、先々彼宗旨を替可申之由稠被仰、其後も一向宗ニ候する者ハ、是非以生害させ申候て可然之由、被仰出候也」(『上井覚兼日記』)
と記している。肥後国は皆一向宗徒と聞いた。転宗するよう命じそれでも転宗しない者は殺害するというものである。

 また、文禄3年(1594)6月には、佐土原大光寺門前の男女が一向宗に帰依しない起請文を提出している。
「 起請文
  一、一向集(宗)ニ永代成間敷之事
  一、一向集ニ成者、男女共此旨可代之事(略)
  文禄三年庚午林鐘二十有五日  大光寺門前男女等敬白 」
(『日向古文書集成』)

 さらに、慶長11年(1606)には伊地知政重など48人が連名して、新納忠元に奉公一心野心のない旨とともに、「今度一向宗就御糺明互心底不存候我々事者彼宗ニ不罷成候」と一向宗を奉じない旨の起請文を出している。
 石屋真梁の一向宗禁制勅許説、豊臣秀吉九州征伐時一向宗門徒の道案内説、伊集院幸侃一向宗門徒説などいずれも副次的理由である。

 一向宗は「仏の下では皆平等」という教権を第一とし、時と場合によっては一揆という形で為政者に抵抗する教団であることから領主や大名たちは大いに警戒したが、一揆を押えることは難しく信仰を認めざるを得なかった。しかし、薩摩島津氏と人吉相良氏だけが一向宗信仰を禁止した。
 島津氏が一向宗禁制に踏み切った理由は、武士を頂点とする身分社会を否定する教義と権力側に一揆で立ち向かうという攻撃性があったからであるとする。

 中世末から近世を通じ薩摩藩と人吉藩のみが一向宗禁制したのは、両藩とも日本国土の南端にあり真宗(一向宗)の伝播が遅れたいう地理的事情と、中世・近世を通じて支配者が変わらず藩の方針を変えることがなかった歴史的事情という二つの共通点があったと言われている。
 薩摩藩は一向宗門徒の摘発に「宗門改め」と「門割制」を活用した。この件については「宮崎、歴史こぼれ話」(146)(147)を参照のこと。
2022-05-24 更新
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著者プロフィール
前田 博仁(まえだ ひろひと) 
昭和40年宮崎大卒。県内小学校、県総合博物館、県文化課、県立図書館を歴任、
平成15年宮崎市立生目台西小学校校長定年退職。
現在、宮崎民俗学会会長
(県)みやざきの神楽魅力発信委員会副委員長、(県)伝統工芸品専門委員、
高鍋神楽記録作成調査委員(参与)、日南市文化財審議会委員

【著書】
『近世日向の仏師たち』(鉱脈社)
『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社)
『近世日向の修験道』(鉱脈社)、
『比木神楽』(鉱脈社)、
他に『鵜戸まいりの道』
『飫肥街道』(鉱脈社)

【共著】
『宮崎県史 民俗編』
『日之影町史』
『北浦町史』
『日向市史』
『みやざきの神楽ガイド』
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