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みやざき風土記
県総合博物館・県文化課・県立図書館で民俗や文化財、郷土史料等専門的業務に長年従事した専門家が、風土や風俗、伝統芸能、地域史など宮崎の文化を分かりやすく紹介します。
 
No.127 宮崎の神楽「銀鏡神楽シシトギリ」にある猪霊送り
前田 博仁 ( 宮崎県民俗学会副会長 )
 ミサキバナシ
 宮崎県西都市の銀鏡神楽は狩法神事と言われるシシトギリが東米良地方の狩習俗をよく伝えているということで国指定無形民俗文化財となっている。
 シシトギリ演舞で二人の神が猪を仕留める場面があり、狩行司役の神官が猪に向かって猪の霊を慰める祓をする。
 呪文「紀州紀の国権現様に、大ジュウ小ジュウを約束したが、神は受しき中いざつしゃいしもはじゆらい、ミサキは元の元地に帰り給え」と言い「オンアビラウンケンソワカ」を3回唱える。

 東米良(西都市)では猪を仕留めた猟師は尻尾の先をヤマカラシ(山刀)で切り取り、仕留めた証とする。このとき狩グループの中心となる猟師2、3人は猪の魂を離してやる呪文、「とれるも縁、とるものも縁、一つはずして花のつくしとなる、なむあみだぶつ」というミサキバナシを唱える。「獲られるのも縁、獲るのも縁なんだ。怨まず成仏しなさい」ということと思われる。
 その後、猪の耳をにぎり、「やまぐち観音、山中地蔵、さとやま観音、○○かくら観音、狩人、こうざけにかけい法楽申す」と3回唱え引導渡しを行う。
 引導渡しが終わると、2本のオタ木の上に猪をのせ毛を焼き、それをこすって取る。猪をさばく場所をオダトコといい、さばきがすんだらオダトコ返シの呪文「しじん無常、ごおよくじんじん同性仏化」と唱えて清める。これをオダトコ返シといい、これらのことをしないと猟にいろいろ障りができると信じられている。(『民俗資料選集狩猟習俗)

 椎葉村尾前の猟師は「諏訪の祓」を唱えて猪の霊を慰める。
「そもそも諏訪大明神と申するは、弥陀の三尊にてまします。ゆうおう元年辛亥の年、東山ぜんしょうぜが嶽に天くだらせ給うては、千人の狩り子を揃え、千頭の鹿をとめ(中略)高天原を通り来てあうぞうれしや、南無阿弥陀仏」(『宮崎県史資料編民俗1』)

 『後狩詞記』には引導を渡す呪文が記載してある。
 猪の解体が終わるとヤマカラシを肉の上に×印に置いて、「カブラは山の神越前のきさきに参らする。骨おば御先御前に参らする。草脇をば今日の日の三代ケクニユウ殿に差し上ぐ。登百葉山が五万五千、降百葉山が五万五千、合わせて十一万の御山の御神、本山本地に居直りたまうて、数の獲物を引き手向けたびたまえり。ハンゲノ水を清ければ、シヤウゲンして人々生く。南無極楽南無極楽々々々」の呪文を唱える。
 猪の分配が終わるとコウザキ(心臓)と紙の旗をコウザキ神に献じる。コウザキは巌石または大木の下、雨露のかからない所に奇岩を置き、折々カケグリ(神酒を入れた竹筒)を供える。そのとき「諏訪の祓」を唱える。
「そもそも諏訪大明神と申するは、本地は弥陀のアッソンにてまします。ゆうおう元年庚戌、我が羽根の下に天降らせたまふ。信濃国善光寺岳赤根山の峠に、千人の狩子を揃へ、千匹の鹿をとり、右は地蔵菩薩、左は山宮大明神、中に加茂大明神と現われ出で、八重鎌千鎌を手に持ちて、我先の不浄悪魔を切払ひ、水露ほども残りなく、三五サイヘイ再拝と敬て白す」(抄訳『後狩詞記』)

 これに似た呪文を西米良村では鷹の霊を慰めるときに唱える。
「そもそもわし鷹と申ハ、弥陀のあつそんにてましますは、(中略)宝京元年庚戌年、信濃の国善光寺嶽の麓赤根の峠に一日、千人の看経を揃え、千頭の鹿をとどめ、左は山宮大明神、右は地蔵菩薩、中は加茂大明神、なる鎌ない鎌手に持って我うぢの人悪魔はらわん(略)再幣再拝敬白」(『西米良村史』)

 霊を送る呪文は県外の猟師も伝えており、福島県の狩人が持つ巻物に「獣ヲ引導」というのがあり、「空心ウショウ スイホウ フチャウ コシュク ニン天 同性仏果」という。意味不明だがこの唱え事は各地で行われ、スワノモンとかスワノカンモン、スワノシンモンなどと呼ばれるもので、「業尽有情、雖放不生、故宿人天、同証仏果」、死をうらまず人の食物となれと鳥獣魚類の霊にさとす引導の文句だという。

 長野県の諏訪神社では鹿を神饌として供え食べる風習があったが、殺生を忌む風潮が広まると昔ながらの祭り執行ができず不都合を生じた。そこでこのような文句を唱え不都合を乗り越えることが行われるようになったと言われる。この唱えごとは狩人にとっても大変便利なものでたちまち各地に広まった。(展示図録『第二九回企画展狩人』栃木県立博物館)
 長野県から遠く離れた宮崎県椎葉や東・西米良にもこの呪文が伝わったのは明らかである。
2014-11-04 更新
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著者プロフィール
前田 博仁(まえだ ひろひと)
1942年宮崎市生まれ 宮崎大学学芸学部卒 県内小学校、宮崎県総合博物館、県文化課、県立図書館、宮崎市生目台西小学校校長等歴任、定年退職後きよたけ歴史館館長
現在、宮崎県民俗学会副会長、清武町史執筆員、県伝統工芸審議会委員
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