ミテンの本棚 > みやざき風土記 | ||||||
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諸塚神楽 椎葉村の東に位置する諸塚村には南川神楽、戸下神楽、桂神楽が伝承する。宮崎では「神楽三十三番」といい神楽演目が三三あることをいうが、南川は三七番、戸下は五〇番を数えどちらも徹宵の神楽である。 南川と戸下は演目等も似ており同系統の神楽。南川神楽の岩戸開き関連演目は「伊勢」「岩戸上」「柴取」「戸取」「岩戸下」「浮輪取」の六番、岩戸を開けて天照を導き出す神はどこの神楽でも手力男命が定番となっているが、南川では春日大神となっている点が他と異なる。 桂神楽 桂神楽は春秋の例大祭に三番が奉納されるが、遷宮や社殿改築、お日待ち願成就など特別なときは大神楽二二番が奉納される。平成27年の大神楽は朝9時に始まり翌朝9時まで催行された。桂神楽は日之影大人神楽、高千穂黒仁田神楽と類似し高千穂系神楽である。 岩戸開き関連演目は「岩戸五番の開き」といい「伊勢神楽」「しばとり」「戸とり」「とんちく面」「大神宮引き出し」の五番で構成、最初の「伊勢神楽」は御幣二本と鈴を持ち神前に向かって高齢のベテラン舞手(かつては神職)が唱教を唱える。 「岩戸五番開き」唱教 そもそもそれ日本のえんぎをときたもう時、第一番に日神といっぱ、今伊勢天正(天照)大神宮これなり、第二番には月よみのみことといっぱ、今西宮えびす三郎殿これなり、第三番なることいっぱ、日向の国宇土(鵜戸)のごんげんこれなり、第四番にすさのうのみことといっぱ、今いずもの国おおやしろの宮これなり、 その時すさのうのみことのたまうには、われこそ一つのおっとの子よ、日本のあるじたるべきことのふしぎさやとて、伊勢大神殿をしたがえて、国のあるじとならんとて、大和の国宇土のこおり(郡)うだの里と申すにてつるぎを作り、すでに神ゆくさ(戦)起させたもう、 おん時伊勢大神殿はそれときこしめし、やあらこともよにふるさきのことやとおぼしめし、日月をいだきとり天の岩戸おくふかきとびこもらせたまえば、日本なたけやの闇となりたもう、 その時よはよろずの神たちあつまりさせたもうて、天にあおむき地にふしおれて、こかれなしたまえども、あきらかなるみよとて、さらになし、 その時ういちのみこと、すいちのみこと、とじこみのみこと、おもだりのみこと、かしこがねのみこととて、かの六代すさのうのみこと、あつまらせたもうて、七日七夜の神かんさかをまいおこなわせたもうても、あきらかなるみ代とさらになし、 その時いざなぎいざなみのみことののたまうには、やあらことに面白きはかりことあるよとて天にあまのぼり、かはかなさんという山よりしゃか木三本をたおらせて、ねこぎにこぎくだし、天の戸のとびらのうえにとびうつらせて、おわつの枝にはやさかい(八咫)のかがみをかけ、中つ枝にはせいすい(八尺瓊)の玉をかけ、したつ枝にはあをみてぐら(青幣)しろみてぐら(白幣)おてをとりかけ、一日一夜の神かんざかを舞おこなわせたまえば、伊勢大神殿もやさかいのかがみにおもてをうつし、やおらおもしろやとて天の戸をほそ戸あげられたもう、おん時日本なおぼろ月夜のごとくなりたもう、 その時ふでんおうはしばを引きこぎ、とかくしの明神ましまいて、おくせんざいの力を出しゆんでの戸を取り投げさせたまえば、日向の国あわぎが原につきたもう、めてのとをとりてなげさせたまえばみのの国えだが原にぞつきたまう、 その時たちからの明神なましまして、伊勢大神のお手をとり日月とまいらせたもう (『御神楽舞い方全集』諸塚村桂御神楽保存会 ) |
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2022-10-14 更新 | ||||||
2025
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著者プロフィール | ||||||
前田 博仁(まえだ ひろひと) 昭和40年宮崎大卒。県内小学校、県総合博物館、県文化課、県立図書館を歴任、 平成15年宮崎市立生目台西小学校校長定年退職。 現在、宮崎民俗学会会長 (県)みやざきの神楽魅力発信委員会副委員長、(県)伝統工芸品専門委員、 高鍋神楽記録作成調査委員(参与)、日南市文化財審議会委員 【著書】 『近世日向の仏師たち』(鉱脈社) 『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社) 『近世日向の修験道』(鉱脈社)、 『比木神楽』(鉱脈社)、 他に『鵜戸まいりの道』 『飫肥街道』(鉱脈社) 【共著】 『宮崎県史 民俗編』 『日之影町史』 『北浦町史』 『日向市史』 『みやざきの神楽ガイド』 |
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