表装の伝統継承者
今回は、宮崎市新名爪で内装表具店を営む、1級表装技能士 押川一郎さんをご紹介します。
皆さんは『表装』と聞いてどのような仕事を想像するでしょうか。ふすまの張替、障子の張替などと思われる方が多いと思います。実は表装は、丁寧な匠の技が活きる伝統技術です。
■押川内装表具店 代表 押川 一郎さんのこだわり
IT化が進む時代に、一枚一枚手作業で、手を抜かずに張り上げています。
手作業で張っていく襖、安くしようとすれば出来ないことはないのですが、自分がした仕事に最後まで責任を持ちたいと考えています。値段ではなく、仕事で還元できるように日々努力しています。
「人は、死んでも技術は残る」と、師匠から言われてきました。 (後世の人に笑われないような仕事を残せるように)また、当店では、畳の張替えもお受けしていますが、専門店にお願いしています。そのほうが、かえっていい商品を提供できるからです。最近は、畳屋さんが襖の張替えまでしているようですが・・・ 先人が、餅屋は餅屋といっている通りであります。機械で作れるものではなく、あくまで手作業です。
■押川 一郎さんのプロフィール
工業高校を卒業後、東京のインテリアスクールに進学。その後、表具の道へ。表装の技術の他、インテリアに関する技術も修得し現在に至る。ふすま、掛け軸からリフォーム工事までこなします。また、各地に赴き、見聞を広げることを心がけております。先代の後を受け、現在は講師も務めています。
取得資格・・・1級表装技能士・壁装技能士取得
【押川内装表具店】
住所:宮崎市大字新名爪1430番地19
電話番号:0985-39-4435
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【押川さんの表装技術を一部ご紹介いたします】
■襖の張替え
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施工前 施工後
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■クロスの張替え
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施工前 施工後
現在1級表装技能士である押川 一郎さんが、宮崎市赤江にある宮崎高等技術専門校で表装全般にわたる技術を指導されていますので、取材しました。
生徒さんが、京都で買い付けてきた古い掛け軸を修復します。
生徒さんに話をお聞きしました。「趣味で表装を習っています。京都まで、古い掛け軸を買いに行って、自分好みに修理をすることで、古いものの伝統に興味を持ちました。素材を変えてみると違ったものとして生まれ変わり、今では骨董市に行くのが楽しみです。」と語っていました。
掛軸の基本となる生地の構成
色々な種類の生地を組み合わせます。
それぞれの個性の見せどころです。
表装と一言で言っても、種類や技が数々あり、ここで教えているのは掛け軸の修復、作り方です。
生徒さんたちは、古い掛け軸を買ってきて、書や絵を切り取り、基本となる台紙を組み合わせ、掛軸を作成していきます。書は薄い和紙に専用の糊を含ませ、丁寧にしわができないように、棒ですくいながら裏に重ねていきます。刷毛で気泡を抜く裏打ちを3回行います。それによって強度が保たれしわがなくなります。
薄い書に糊付けした和紙を3回貼り付け強度を増します。
掛け軸の基本は、緞子(どんす)という生地の上に、書や画を配置し、金襴でアクセントを付けます。徐々に仕上がっていく掛け軸は、それぞれの特徴があり、新たな命が吹き込まれていくようです。
生徒さんが作成した掛軸に押川先生のアドバイスで完成に近づいていきます。
押川さんは言います。「表装といっても一般の方には理解しにくいので、もっとわかりやすい呼び名を考えて、宮崎ではすでに3、4人しかいなくなった表装技能士の伝統を守っていきたい。」
表装という奥深く自由な表現ができる伝統の技を、ぜひ体験してみませんか。
【宮崎高等技術専門校】
宮崎市大字赤江飛江田868番地16
TEL 0985-52-5583
■表装講座 毎週月曜日 9:00〜16:00