継手(つぎて)~伝承の知恵~
上の動画をご覧ください。
継手という伝統的な結合加工がされた木材が登場します。
それぞれの結合部分はさながら立体パズルのように複雑な形です。
強度や木材の性質を考慮して様々な形が考案されており、その巧みな技で作られた継手は時に芸術的にも見えてきます。
日本の木材建築を支える技
継手とは、材料の長さが足りない時に木材を継ぎ足す技法です。最近は釘やボルトなどの金物を使ってつなぎますが、継手はそれがなかった時代から使われる技です。
継手は、ただ木をつなげて長くすれば良いのではなく、強度を持たせなくてはなりません。多くの種類が伝えられており、必要とする強度や家のどの部分に使うかを考慮して適した種類を選び出します。
例えば柱の下の部分が腐ってしまった時、柱を丸ごと取り替えられないので、そこだけ継手をして取り替えていました。
継手の面白さ
左のもの(上の写真も)は、柱に使われる継手です。
継ぎ目は四方とも同じ形に見えますが、つないだ木材がすり抜けてしまわないように精巧な細工が施されています。
接続部分はノミなどを使って手刻みで作業します。木の性質を見極めて、乾燥や湿気で大きさが変化しても安全なように、先人たちの知恵を活用して作り上げます。
伝統を受け継ぎ、今に活かす
現在、一般的な住宅建築においては、プレカットというあらかじめ機械で切断・加工した木材を使って短期間で仕上げるやり方が主流です。
現場では、ノミやカンナを使う作業が減っており、大工の基本と言われる「墨付け(木材を加工する前に墨で印をつける作業)」や「手刻み(墨付けした木材をノミなどで加工する作業)」を習得する機会も減ってきています。
効率的な現代の建築工法にも良さがありますが、長い年月を経て今に伝わる伝統技術は、優れた日本建築を絶やさないためにも残していきたいものです。
建築大工技能士は、木造住宅を作るための専門的な知識と技術を有しています。伝統を継承しながら、どんな要求にでも応えられるよう、自らの技量の幅と深みを増す努力を怠りません。
●匠の道具
コテノミ、釘しめ、木づち、金づち、のこぎり・・・
大工道具は手工具だけでも大小多くの種類があります。
どれも大切な道具なので、長く使えるように手入れを欠かしません。

墨壺
墨付けで使う墨壺。
廃材から手彫りしたものです。
今は現場ではほとんど使いませんが、墨付けの工程で欠かせない大切な道具です。
Focus on~技能士に聞く~
今ではほとんど見ることのない継手に挑戦しました。
吉村 強 さんYoshimura Tsuyoshi
(株)平田建設 勤務。1級建築大工技能士。
大工歴12年。大工の父を見て育ち、小学生の頃から大工を目指す。
大工は自分の適職だと実感している。大工技術は、学校で学ぶものと現場でのやり方は
必ずしも同じではないため、学んだものをどう自分のやり方に変えていくかが大切だと
話す。今は使われない伝統的な技術でも、必要になったときにすぐに使えるようにして
おきたい、と貪欲に学ぶ。技術を他人に分かりやすく教えるのは難しいが、今後は後輩の
育成にも力を入れていきたいと語る。
座右の銘!
「挑戦」 作ることが大好き。色々なことに挑戦し、知識と経験を蓄えていきたいです。
【宮崎県職業訓練建築大工技能士会】
建築大工技能士の資格を持ち、宮崎県内で職業訓練に携わっている人が
所属しています。職業訓練校で指導する先生や、大工として働きながら
講師として教える立場の方がいます。
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