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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.152 目に見えない大切な時間
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 1年程前、私は「数独」を始めました。きっかけは宮崎日日新聞の「数独コーナー」でした。難易度が★(星)1つから★5つまであり、週によって難易度が違います。初めて数独に挑戦した頃は、★2つでも四苦八苦。解くのに何時間もかかりました。
 このコーナーを皮切りに、数独の問題集を購入し、1日にひとつずつ解いていくことにしました。数独を解いていくための「9×9」のマス目もエクセルで作成しました。 
 児童文学の作品を書いていく合間の気分転換のつもりでしたが、だんだんのめりこんでいきました。そうして、問題を解いていくうちに、私は上級の問題も解けるようになりました。
 今年の5月にニコリ氏作成の105題の問題が掲載された『数独上級問題集』を購入し、1日1題ずつを解いていきました。その問題集の始めに、ニコリ氏が「この問題集を全問解けたら、堂々と『数独上級者』を名乗ってもいい」と書かれていたので、私は張り切って問題を解いていき、9月の始めにはめでたく「数独上級者」となりました。
 1年間数独の問題を解いていきながら、私はさまざまなことを考えました。たとえば、数独の問題は、そのマス目にあてはめる数字をひとつでも間違えたら81のマス目は埋まりません。だからこそ、ぜんぶのマス目を正解の数字できちんと埋め終わったときは本当にスカッとします。それと同時に、数字の仕組みの潔さに感動します。大学時代、数学を専攻していた友人が、しばしば「エレガント」という言葉を使っていましたが、白黒がはっきりとして、決して「グレー」ではないその潔い美しさを、「エレガント」と表現していた意味がやっと理解できました。

 それから数独を解きながら考えたのは、「思考の仕組み」についてでした。数独の本の最初のほうには必ず「解き方のヒント」なるものが書いてあります。私はそのヒントを読むことなく数独に挑戦し始めました。解いていくうちに、ひとつ、ふたつと、数独に潜むある法則に気づいていきました。その法則は、始めのうちは決して理解できない法則でした。問題をひとつずつ解いていったからこそ気づいたものです。そして、解いていくうちに、自分の解き方における思考のステージが徐々に上がっていくのがわかりました。数字が書かれたマス目を見ながら、頭の中に数字がポツン、ポツンと浮かんでくるのです。これは不思議な現象でした。

 私にとって、「数独上級者」になれたこと以上に、この「思考の仕組み」について理解できたことが何よりの収穫でした。そして、このことは子育てを始めすべてに通じることだと思ったのです。たとえば、子どもが寝返りをするようになり、やがてハイハイの段階を経て歩けるようになる。このとき、「ハイハイ」の時期が長いと、親としてはハイハイを終えて早く歩けるようになったらいいのに、と考えます。しかし、すでにご承知の通り、「ハイハイの時期」はとても大切で、この時期に十分にハイハイをすることが、その後の子どもの肉体的な発達に重要な意味を持ってくるのです。つまり、ただハイハイをしているようでいて、体の中では様々なことが起こっているのです。
 このことからわかるように、人間には「目に見えないけれど存在する大切な時間」があり、それはその時間を体験した者にしかわからない。無駄に思えるようでも、必要だからこそ存在する時間なのです。

 そういえば息子が小学校5年生になった頃、「県外の私立中学を受験したいから、学習塾に行きたい」と言い出しました。お金もかかるし、どうせ長続きしないだろうと思い、夫も、小学生が塾通いをする必要はない、ということで、息子のその申し出を却下しました。「県外の私立中学を受験したい」という考えに至った息子の思いを詳しく聞くこともありませんでした。
 その時点で「塾に行きたい」という問題は立ち消えになったと思っていましたが、何日か経って、学習塾の講師という方から「お子様が私どもの塾に通いたいということですが、親御さんの許可が要りますので、許可していただけますでしょうか?」という電話がありました。「私たち夫婦は塾通いをさせるつもりはありません」と答えると、「息子さんがどうしても通いたいとおっしゃっています」とのこと。私は、「どうせ続かないのだから、ひと月ほど体験ということでお願いできますか?」と返答し、1ヵ月だけその塾に通うことになりました。
 夕食時と塾の時間が重なるのでお弁当が必要でしたが、私は塾通いに反対だったので、息子は、学校が終わると自分でお弁当を作って塾に通いました。そうして、息子は1か月の塾体験を終え、正式な入塾希望の旨を塾側に伝えました。入塾手続きに関して塾から電話があり、私は塾まで出向いて手続きをし、お弁当作りが始まりました。その後2年間、息子は休むことなく塾に通い、希望通り私立中学に合格したのでした。

 どうして県外の私立中学に通いたいと思ったのか、親である私たちにとって理解できなかったこと、そして、その理由を聞こうともしなかったこと。ことに、夫にとって、ランドセルを卒業したばかりのわが子が、親元を離れて生活するということが受け容れられないようでしたが、結果的に息子は親元を離れ、6年間の中高一貫教育の中でのさまざまな成長という形で、その答えを私たちに見せてくれました。そして、息子自身、自分の選択がそれほどまでにたくさんの収穫を得ることができたということは予測できなかったでしょう。

 子どもの思考は親の目には見えない。親の視点で子どもの思考を考えてはいけない。子どもがそう考えるまでには多くの経験がある。子育ては1日1日の積み重ね。そうして積み重ねていくうちに、目には見えないけれどもそこに成長があり、変化がある。
 1日にひとつ、「数独」の問題を解いていき、私は「思考が進化していく過程」を体験できました。この体験は私以外の人には見えませんが、この体験をしていた時間は私にとって大切な時間でした。
 こんなふうに目には見えない大切な時間を四六時中経験している子どもたち。でも、外から見ただけでは「ぼおっと」しているようにしか見えないのかもしれません。
2020-10-01 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)
『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集)
『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集)
『四季通り路地裏古書店』(2019みやざきの文学「第22回みやざき文学賞」作品集)




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