宮崎みんなのポータルサイト miten !でグルメ・イベント等の生活情報をチェック!
チラシ特集2017 4月
ユーザー名:
パスワード:
トップ | 無料会員FAQ | サイトマップ | リンク集 |
すべて 食べる
遊ぶ 買う
キレイ 暮らす
健康 医療・福祉
でかけてmiten
買ってミテン
働いてミテン
ミテンの本棚  >  体で感じる・心が育つ

体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.144 苦しいから、難しいから価値がある
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 2015年1月のコラムで(以下、コラムからの引用を含む)、南太平洋中央カロリン諸島ポンナップ島の地球最後の航海民族について書いています。彼らは、エンジンもコンパスもない木造の帆走カヌーを巧みに操り、目標物のない大海原でも「星」や「波」や「風」を頼りに、進行方向を見極めることができるのです。
 ポンナップ島には、電気も水道もありません。作物もイモくらいしか育ちません。そんなポンナップ島での一番の宝物は「ワーセレス=風の舟」と呼ばれる島の木で作られたカヌーです。魚つりや他の島への往き来をするために使われます。
 このカヌー、誰にでも乗りこなせるものではなく、「ポ」と呼ばれている男たちだけが扱うことを許されています。ポンナップ島には13人の「ポ」がいて、島に伝わる航海術をマスターした者だけが「ポ」として認められます。

 カヌーの動力源は「風」だけです。最高時速は約20キロで、「ポ」たちはこのカヌーで、数百キロの航海をします。「ポ」たちは波や風の向き、そして鳥たちが飛んでいく方向から進路を判断するのです。
 このポンナップ島の「ポ」の一人に、ジェシー・カイウス(44才)がいます。彼はかつてポンナップ島を離れ、パラオの大学で機械工学を学びました。モーターボートに興味を持ったからです。大学を卒業後、グアムの船舶会社に勤めましたが、1年でその会社をやめ、ポンナップ島に戻りました。自動で動く大型船にどうしても興味が持てなかったからでした。彼は、「中学までしかないポンナップ島を離れ、島の外でコンピューターなどの知識を学ぶことは大切だ」といっていますが、彼自身は、その上で、ポンナップ島で自分が身に付けた風や、星などの自然についての知識によって、自分の力で舟を動かすことの方を選択したのでした。

 私は、この彼の選択に深い感銘を覚えました。なぜなら、彼の選択は、私たちが現代社会において多くのものに依存している生活とは、対極にあるものだったからです。実際、私たちは、電気・ガス・水道など、多くのライフラインに依存して生活しているので、これらのものが存在しない生活など考えられません。もしも自然災害などによってこれらのライフラインが遮断されたら、たちまちパニックにおちいってしまうでしょう。そんな事態を想像した時、生きのびることができるのは、科学がうみ出した産物に頼らなくても、自然界に存在する星や風などの知識を自由自在に活用して生きることのできる人々なのです。
 人間は、本来、とてもすばらしい能力を持っていますが、それらの能力のほとんどを使うことなく死んでいきます。一部の人々の知識の産物によって、つまりは、科学技術の進歩によって、現代社会は進化していきますが、人々は、それに依存していくことで、その能力は退化していきます。
 人間が本来持って生まれた能力を本当の意味で進化させるためには、便利な機械や道具に頼ることなく、体のあらゆる機能をフルに活用していくという選択が必要になります。そして、その選択のためには、あえて、便利な道を選択しないという強い精神力が必要になるのです。

 現在、教育現場にコンピューターやタブレット端末などを導入する動きが進んでいますが、これに対して、以前から日本の子どもたちの読解力低下を指摘してきた国立情報学研究所教授であり「教育のための科学研究所」代表理事・所長も務める新井紀子さんは、「子どもの読解力を上げるには、むしろ板書をするなど『書く』行為をさせること、つまり、『昭和的』な教育のほうが効果がある」と言っています。そして、今の子どもたちの多くが中学生になってもノートが取れない、ノートの取り方自体がわからない、そんな問題点を指摘しています。
 考えてみると「書く」という行為は、大変な労苦を伴います。私の場合も、文章を書く場合、たいていパソコンを使います。そのほうが頭の中のアイデアを「思考の速さ」で文字化できるからです。また、同じ文章表現をたいときには手っ取り早くコピー・ペーストをします。
 しかし、出来上がった作品を読んでみると、パソコンで書いた文章は明らかにその痕跡が残ります。ことに子どものための作品など、それが顕著に表れます。ですから、私は作品作りの最初には、原稿用紙にペンで書くようにしています。そして、ある程度の構想がまとまってから、思考の速さでパソコンで文章を打ち込んでいくのです。

 ある程度の年齢に達していれば、書くという行為に慣れ親しんでいるので、便利な道具の長所と短所を見極められますが、子どもたちは別です。生まれたときからすでに、便利な道具を使える環境にあったなら、その便利さと引き換えに、本来生まれ持っている能力を開花させないまま成長してしまうのだということを忘れてはなりません。
「どうして私たちは勉強をしなければならないのか?」という質問の答えは文字通り、「勉めて強いる」行為をしなければならないからです。勉強によって知識を得ることはもちろん大切ですが、「苦しいこと・難しいこと」を敢えてすることで、人間としてのあらゆる能力を開花させることができるのです。

 前述の「ポ」のジェシー・カイウスは、風や、星などの自然についての知識によって、自分の力で舟を動かすことを、生まれたときから過ごした大自然の中で学びました。そして、その後、科学技術の習得の大切さも大学という知的機関で学びましたが、彼が生まれたときから習得した人間の本来持つ素晴らしい能力の大切さを再認識し、また、自然の中へと帰っていきました。
 子どもたちが本来持っている素晴らしい能力を開花させるためには、まず、大自然の中に身をおくことが大切なのです。初めに「便利さ」の味を知ってはだめなのです。

※今月の写真は、頑張った先にどんな素晴らしいことが待っているかを教えてくれるお薦めの本です。
2020-01-31 更新
2020 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07
2019 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12
2018 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12
2017 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12
2016 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 11 | 12
2015 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12
2014 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 12
2013 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12
2011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12
2010 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12
2009 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12
2008 | 02 | 03 | 06 | 07 | 08 | 10 | 11 | 12
2007 | 12
著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)
『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集)
『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集)




***********************
※ブログのアドレス(※モバイルでは正しく表示されない場合がございます。 )
「彩木瑠璃の癒しの庭」 http://ameblo.jp/akylulu/
「彩木瑠璃の心の筋トレ」 http://blog.livedoor.jp/saikiruri/ 
「巴里アパルトマン生活を夢見て」 http://blog.goo.ne.jp/saikiruri
(1) 2 3 4 5 6 7 8 9 10 » 
PopnupBlog 3.0 Denali-1225 created by Bluemoon inc.  
e87.com(株式会社千趣会イイハナ)
富士通パソコンFMVの直販サイト富士通 WEB MART