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みやざき風土記
県総合博物館・県文化課・県立図書館で民俗や文化財、郷土史料等専門的業務に長年従事した専門家が、風土や風俗、伝統芸能、地域史など宮崎の文化を分かりやすく紹介します。
 
No.197 日向山村の狩猟習俗2
前 田 博 仁 ( 宮崎民俗学会会長 )
東米良の狩猟習俗
 昭和32年、文化庁が宮崎県西都市尾八重の打越と銀鏡の狩猟習俗を調査した記録が『民俗資料選集・狩猟習俗供戮坊悩椶気譴討い襦その中の「狩猟をめぐる禁忌・予兆」の項に妊娠した妻を持つ猟師は異常な霊力、呪力を持つと尾八重打越で伝えるという。
・妊娠した妻をもつ猟師が狩にいくと多くの獲物がある。
・仕留めた猪のそばに行くと猪が蘇生、さらに料理場の猪の切り肉が動き出すといい、それで身ごもった妻をもつ猟師は仕留めた猪のそばに近づけないようにする。
・妻が妊娠しているとその家の付近に猪が現れ、それを夫が仕留めると次々に猟があり、獲り外すと次の子どもを身籠るまで不猟が続くという。
 ただ、死んだ猪が蘇生するというような呪力に対し、そばに近づいても声を発しなけばよいとか、極めて幸運をもたらす存在であるが、余りに強運なので行為を差し控えなければならないとも言う。そして打越では妊婦をニゾボクというとある。

現在の状況
 この調査から56年も経た(平成25年)現在はどうなのか、尾八重の元猟師に聞いた。田畑の作物を守るためと山村生活では貴重なタンパク源である猪肉確保から、20歳のとき狩猟を始め狩猟に関する仕来り、つまり禁忌や狩り神事など狩猟習俗を猟師であった祖父や猟仲間から教えられた。

妊婦の呪力
 妻が妊娠している猟師の話に関しては、現在も「赤子ができたので縁起がいい」とか「牛の子ができた」などと、猟があることを期待し猟師間で話をする。また、猟犬が猪を追い込み、周囲を複数の犬が取り囲み吠えたてて廻りながら猪を動けなくする、これをニワドメとかタテルと言うが、これを尾八重では「妊婦を持つ猟師が来るまで猪は動かないで待つ」という。
 妊婦を持つ猟師の幸運は今でも伝え、猪を仕留めると次々に猟があると喜び、獲り外すと「今年はだめじゃ」と来年の猟期まで猪が獲れないと落胆すると言うが、昭和32年の調査で次の妊娠まで不猟というのと変ってきているのは、昔は猟期がなく年中狩猟ができたことと猟期が設定されている現在との違いではと元猟師は話された。

「身内に死者がでた猟師は猟場に近づくな」と言うことについては、今もしっかりと伝わり狩猟準備している仲間のところに、身内に死者がでた猟師が行っても「今年は遠慮してもらわにゃ」と断られる。尤もこのことについて地元猟師は十分知っており猟仲間を訪ねない。身内に死者があると黒不浄といい神社参詣や神楽も行くことも控える。まして神楽保存団体役員などであったりするとその年の神楽奉納は中止される程である。

 妊娠した妻を持つ猟師が仕留めた猪に近づくと蘇生するとか、切り肉が動くという話はさすがに伝わっていない。これについては恐らく昭和32年時点でも信じる猟師はいなかったと思われ、妊婦の名称ニゾボクということも伝わっていない。他に、
・狩に行くとき豊猟をコウザキに祈る。
・狩りの当日着て行く衣類がほころびていても決して縫針をしてはならない。
・猟に出るとき犬が勇んいると獲物があり、行きたがらないときは不猟。
・コウザキに祀った七切れ肴がすぐ無くなったときは獲物があり、いつまでも有る場合は不猟。
・猟師のお守りとして鹿の玉、鹿の耳など所持して狩りに行く。特にニタ撃チに行くときには必ず所持するが所持していることは秘密にしておく。
・コウザキや山の入り口にある山の神に神酒を捧げるとその日の猟が多い。
 などと報告にある事項を訊ねた。
 猟の日に衣類の繕い以外は全て現在も言っているという。
・猟に出るとき犬が勇んいると、犬の「気の相が良い」とか、七切れ肴がすぐ無くなると「コウザキ様が欲しがっている」など言い何れも豊猟の予兆と喜ぶ。
言い伝えは本当だった

 西都市銀鏡在住の永田菜穂子さんは、平成8年4人目の子どもを身籠った。夫は猟師、上揚カクラ(猟場)に猟犬を入れると5分、10分で猪が獲れ、1日2頭獲れることも珍しくはなかった。犬が良いということもあったかもしれないが、通常1シーズンに10頭余り獲れるのは豊猟というなか、その年の猟期(3か月)で40頭を超える獲物があった。
 夫の猟師仲間は「奥さんが妊娠しているからこんなに獲れるのじゃが。もしかすると女の子かも。男ん子ではこんなに獲れんが」などと言って豊猟を喜んだ。
 昔から妻が女児を身籠ると猪が多く獲れると言い伝えていた。翌年8月猟師仲間が予想した通り女の子が生まれ現在高2。それまで夫を猟場に送るだけで狩猟は無関心、地元で言う狩猟伝説は全く信じていなかったが「狩猟にはまった」と。すぐに狩猟免許を取得し夫婦で狩猟、夫は猪を追い立てる勢子、永田さんは追われた猪が現れそうな場所で待ち伏せするマブシだそうだ。
 身籠った妻をもつ猟師には猪が寄ってくるという言い伝えは本当だった。
(「みやざき風土記No.143女性猟師の不思議な体験」)
※文化庁文化財保護部編『民俗資料選集・狩猟習俗供拗馘效詫協会
2019-12-10 更新
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著者プロフィール
前田 博仁(まえだ ひろひと)
昭和40年宮崎大卒。県内小学校、県総合博物館、県文化課、県立図書館を歴任、平成15年宮崎市立生目台西小学校校長定年退職。現在、宮崎民俗学会会長、宮崎県立博物館協議会会長、
(県)みやざきの神楽魅力発信委員会副委員長、(県)伝統工芸品専門委員、
(県)神楽保存・継承実行委員、「米良山の神楽」記録作成調査委員

【著書】
『近世日向の仏師たち』(鉱脈社)
『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社)
『近世日向の修験道』 (鉱脈社)、他

【共著】
『宮崎県史 民俗編』
『日之影町史』
『北浦町史』
『日向市史』
『みやざきの神楽ガイド』
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