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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.138 カルチャーショック
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 7月の中旬、一週間ほど中国に行ってきました。アジアの国を訪れるのはこれが初めて、しかも言葉が通じない国への旅です。はじめのうち、中国への旅にいささかしり込みしていました。言葉の通じない国へ行くことへの不安もありますが、それ以上に、非日常の時間を持つことへの不安でした。いつもと同じ生活を送っていれば、感じない不安です。この不安は、かつて、ヨーロッパ一人旅を計画したときにも感じた不安でした。
 しかし、私は、その旅以来、「もしも選択肢が二つあり、どちらかを選ぶとしたら、困難なほうを選ぶ方が、人間的な成長につながる」と考えるようになっていました。
 コラムナンバー105133で、「子どもたちの成長にも旅の経験は貴重である」「かわいい子には旅をさせよ」などといった私です。きっと旅を終えたら何らかの成長ができる、そう思って旅立ったのでした。

 実際、カルチャーショックの連続の中国旅行でした。すべてが日本とは違っています。国土の大きさ、人口、国民性、生活様式。中でも一番驚いたのは、中国人の車の運転です。車の数が多い上に、スピードも速い。車間距離が短い。しかも、自転車や、ヘルメットをかぶらずに運転しているバイクがしょっちゅう飛び出してきます。
 日本でも問題になっている「あおり運転」などが起きるような余裕も時間もありません。そんな行為をしたら、たちまち道路からはじき出されてしまいそうな勢いでした。
 割り込みなど日常茶飯事。いちいち文句はいわずに割り込んできた車を入れてあげる。とにかく細かいことにこだわらない。それは、おおらかさ、大雑把さ、そして、懐の大きさなのか? 大陸的な性格なのか? きめ細かさ、奥ゆかしさ、礼儀正さといったものが重宝される日本では、考えられないものでした。

 世界遺産である「万里の長城」を訪れたときもそうでした。果てしなく続いているその石垣を見たとき、中国人の凄さを体感しました。小さな煉瓦をひとつひとつ積み上げていく過程で、何人の人間が携わったのか、何個の煉瓦が使われたのか、どれくらいの年月を費やしたのか、そんなことを考えていたら、気が遠くなるようでした。
 何もかもがスケールの大きな中国。私はこの巨大な国から、還暦を過ぎてカルチャーショックを受けたのでした。

 そういえば、息子も、二歳くらいの頃に、カルチャーショックを受けた経験がありました。初めての外国、アメリカでのことです。夫がサンフランシスコで会議があり、私と二歳の息子も同行したのです。
 渡米二日目くらいから、息子はご飯を食べなくなり、私たち夫婦以外の人間を拒否するようになりました。「かわいいね」そう英語で話しかけられても、ぷいっ、と顔をそむけます。英語で話しかけられることに拒否反応を示すのです。
 夫が会議に参加している間、私は気晴らしになればと、息子を連れて外に出ました。街を歩いていると、大きなおもちゃ屋さんがありました。店の奥に広場があり、ボートが置いてあります。そのボートの中は砂場になっていました。息子は、その砂場に興味を示したので、二人でボートの中に入り、砂で遊びました。
 2時間ほどそうしていたでしょうか。息子の表情が次第に変化してきて、砂場以外のほかのおもちゃにも興味を示し始めました。そうして、心ゆくまでそのおもちゃ屋で過ごし、私たちはホテルに戻りました。
 その日の夕食時、アメリカに来てからほとんど何も満足に食べていない息子に、「今夜は何が食べたい?」とたずねると、「ごはんと味噌汁が食べたい」と答えました。
 やっと息子が、自分から何かを食べたいといってくれたことを、会議から戻った夫に伝え、その日は日本食のレストランに行ってご飯と味噌汁を食べさせたのでした。
 そのとき初めて、私たちは、息子が「カルチャーショック」を受けていることに気づきました。たった二歳にして、もうすでに「日本の食文化」を背負っているのだということを理解したのです。

 それから、二年後のギリシャには電気炊飯ジャーとお米、海苔とインスタント味噌汁を持参しましたが、息子はそれを必要としませんでした。それどころか、「かわいいね」という外国人の声かけに笑顔で答えられるほどで、かつてのカルチャーショックなど微塵も感じさせませんでした。国際会議が開かれたコルフ島のホテルでは、夫の恩師の誕生日のお祝いに、1人で「ハッピーバースデー」を歌ったほどでした。また、日本の子どもはめずらしかったので、ホテルのスタッフたちがかわいがってくださり、レストランでは毎日のようにアイスクリームのパフェをサービスしてもらっていたようです。
 そうして息子は、幼稚園に入園するまでには、アメリカ、ギリシャ、スイス、オーストリア、ドイツと5カ国を旅したのでした。
 息子は、大学卒業後、四年間の社会人生活を経て世界放浪の旅に出ました。そして、全大陸を制覇したのは、この幼児期の経験が無縁ではない、それどころか大いに影響しているといってもいいでしょう。そして、その旅で得た経験は、息子の血(知)となり肉となったにちがいありません。

 私自身、旅立つ前は不安のほうが大きかった中国。でも、やっぱり行ってみないとわからないことばかりだなあ、それが正直な感想です。旅の間は、もう中国はこの一度きりでいい、そう思っていましたが、帰国した今、中国語をもう一度勉強しなおしてみようかな、などと考えています。ぬるま湯に浸かっていては進歩がないな、自分のいるレベル、ステージ、フィールドを高めたり広げたりするためには、現状維持ではいけないな、そんなことを感じています。
 還暦を過ぎた私でも、旅をしたら成長をするのです。だから、お母さん方、「かわいい子には旅をさせよ」ですよ。
2019-08-01 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)
『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集)
『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集)




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