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みやざき風土記
県総合博物館・県文化課・県立図書館で民俗や文化財、郷土史料等専門的業務に長年従事した専門家が、風土や風俗、伝統芸能、地域史など宮崎の文化を分かりやすく紹介します。
 
No.188 米良地方の神楽「部屋の神」
前 田 博 仁 ( 宮崎民俗学会会長 )
 県央を流れる一ツ瀬川上流域は、米良氏(菊池氏)が治め米良山と言ったが、明治22年(1889)の町村合併で西米良村と東米良村となった。さらに昭和37年(1962)には東米良村が西都市に、東米良村中之又は木城町に合併した。かつて同じ領主に領知され自然環境や生活環境も同一ということから、現在も西米良と旧東米良は同じ生活文化を共有している。
 西米良村には村所八幡神楽、小川神楽、越野尾神楽が存在し、旧東米良には銀鏡神楽、尾八重神楽、中之又神楽が伝承し、若干の違いはあるもののこれらの神楽は概ね同じと言える。ここに「部屋の神」とか「磐石(ばんぜき)」という「かまけわざ」が伝承する。

(1)銀鏡神楽
 「室(へや)の神」、シャクシ面ともいう。天鈿女命の面を着け女の着物を着する。腰にテゴ(籠)をつける。テゴにはシャクシ、シャモジ、スリコギ、物相飯を盛る器が入っている。鈴と幣を持って台所から舞い出て、初めゆったりと舞い、次にスリコギを股間にあて神主と問答する。
 神主がスリコギについて問うと、イザナギ・イザナミの国造りを語り、セキレイ(鳥)の動きから陰陽の道を理解したことを述べる。さらに「東向いちゃチイカタカタカタッ」と言いながら、股間のスリコギを向け東西南北を教える。終わって神楽歌「田の神は、年はいくつとたづぬれば、年は取りても腰は弓張り」を歌う。そこに着面した七人の「ズリ面」が仰向けで這いながら現れ、室の神の足にからんだり転がしたりする。神主がシャクシについて問うと、天の高さ地の深さを測るものと説明、問答を終えて台所にもどる。神楽歌から室の神は田の神、豊穣と子孫繁栄を願う舞であるという。

(2)小川神楽
 「部屋の神」、シャクシ面ともいう。鈿女の面を着けること、衣装や採物など銀鏡神楽と殆ど同じ。舞の途中テゴからスリコギを出しイザナギ・イザナミの陰陽の説明を行う。他の採物について神主との問答を行い、後半七人のズリ面が仰向けになってズリ出て、部屋の神にまとわり、またはズリ面同志で足を絡めたり、終始おもしろ可笑しく演じる。神楽歌「田の神はシワはよりても年若なり」。豊作と子孫繁栄を願う。平成30年の神楽では演舞されず。小川神楽が銀鏡神楽に似ていることについて、嘉永3年(1850)銀鏡上原の祠官甲斐重眞が「唯一神道大祭神事 神楽之次第」を小川古屋敷の神主永霖馬に伝授したという古文書(※6)が神楽保存会に残っている。

(3)越野尾神楽(児原稲荷神社神楽)
 「部屋の神」。鈿女面を着け黒の女着物を着る。腰にテゴを下げること、テゴの中に入れてある採物、イザナギ・イザナミの陰陽の説明など銀鏡神楽と同じ。昔はズリ面が出ていたが現在は出さなくなった。子孫繁栄を願う舞。神歌「田の神はいずれの神か知らねども 年は寄りでも腰は弓張り」
 越野尾神楽は門外不出であった銀鏡神楽を銀鏡の一人が禁を破って八重に教えた。銀鏡では教えた者を村八分にしたという。昭和の初め、越野尾の人々は八重から神楽を習った。現在も行政区を越えて神楽の交流がある。小川神楽も越野尾神楽も銀鏡神楽と言える。

 (4)村所神楽(八幡神社神楽)
 「部屋の神」、シャクシ面ともいう。女の面女の紋付を着るが男女両性の神、イザナギ・イザナミという。腰に下げたテゴからシャクシを取り出し、天に向かって投げ上げる。地上に帰ってきたシャクシから宇宙で見聞したこと、天と地の距離などを聞きだす。次に御神屋を釜に見立て、炊きたての飯をシャモジでまぜ、オコゲを御器につぎ、社人や参詣人にオコゲを配る。次に東西南北を教える。股間に隠したスリコギを男根に見立てて「東を向いてヒータカ、ヒータカ、タカタカ」といい、スリコギをすごきながらかざし、四方をさして同様のことをする。
 明治末頃までは、二神が登場して交合を演ずる「ズリ面」があったが、教育的によくないという理由で外され現在に至る。
 イザナギ・イザナミが登場する「かまけわざ」は高千穂神楽の「御神体」(酒こしの舞)にある。

(5)尾八重・中之又神楽
 「磐石」、鈿女神の舞という。鈿女面を着け老婆衣装を着る。籠を背負いテゴを腰に下げる。テゴには御器やシャモジ、芋などが入っている。芋は地芋で三〇センチ程男根を表わす。舞手はトンチに富むベテランを選び、炊事場から舞を始める。豊穣と子孫繁栄を願う。(※9)中之又神楽も「磐石」という。着面し籠を背負い腰カゴを下げ、木製の男根を股間につける。採物の由来を神主との問答で面白く説き、子孫繁栄を願う。米良の神楽では「部屋(室)の神」と言っていたが尾八重と中之又では「磐石」という。

参考資料:(※6)雕宿霈次惷箒誠棲據‘向山地の生活誌』弘文堂 (※7)前田 宏『伝承神楽舞』 (※8)甲斐直・甲斐武信『西米良神楽第三集』西米良村教育委員会 (※9)『木城町史』木城町
2019-03-12 更新
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著者プロフィール
前田 博仁(まえだ ひろひと)
昭和40年宮崎大卒。県内小学校、県総合博物館、県文化課、県立図書館を歴任、平成15年宮崎市立生目台西小学校校長定年退職。現在、宮崎民俗学会会長、宮崎県立博物館協議会会長、
(県)みやざきの神楽魅力発信委員会副委員長、(県)伝統工芸品専門委員、
(県)神楽保存・継承実行委員、「米良山の神楽」記録作成調査委員

【著書】
『近世日向の仏師たち』(鉱脈社)
『薩摩かくれ念仏と日向』(鉱脈社)
『近世日向の修験道』 (鉱脈社)、他

【共著】
『宮崎県史 民俗編』
『日之影町史』
『北浦町史』
『日向市史』
『みやざきの神楽ガイド』
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