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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.120 進化?それとも退化?
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
「なんか異様な光景だなあ。」
あるレストランに足を一歩踏み入れ、テーブルにつこうとして、夫が言いました。店の中にいたほとんどの人がスマートフォンの画面を見つめていたのです。ひとりで来店していた人はもちろん、目の前に連れの人が座っている人も、みんなもくもくとスマートフォンの画面をさわっていたのです。(ちなみに、夫はスマートフォンや携帯電話の類を持っていません)
私はそのとき、ふと思ってしまいました。スマートフォンなどによって、現代人は、目に見えない不特定多数の会ったこともない相手と知り合いになれるけれども、目の前の人とは友達になれないのではないか、つまり本当の意味での友達は作れないのではないか、と。

科学技術が進歩したおかげで、私たちの暮らしはずいぶん便利になりました。シャワートイレなど、私にとっての必需品です。もう、これがない昔には絶対に戻れません。ましてや、水洗トイレなどではない、あの「ぽっちゃんトイレ」なんて耐えられません。
でも、でもです。私たちの子どもの頃は、どこの家もそれがあたりまえだったのです。昼でも暗いので、夜など、とても怖い思いをして、足を踏ん張っていた、かつてのトイレ事情ですが、それによって、子どもたちの体も心もずいぶん鍛えられたのです。現に、現代の子どもたちの中には「しゃがむ」という行為ができない子どもだっているといいます。

考えてみると、科学技術の進歩によって産み出されたもので、私たちの生活は大変便利になり、暮らしは楽になりました。そして、たくさんの情報を、一瞬のうちに手に入れることができるようになりました。
しかしそのことは、同時に、私たちからある大切なものを奪ってしまったような気がするのです。以前の私は、調べものがあると本を買い、本が手に入らないときは図書館に行って調べたりしていました。それが今では、知りたいことについてパソコンにいくつかの検索ワードを挿入したら、たちどころにたくさんの情報がパソコンの画面に表示されます。その情報がどこから来ているのか、果たして正しいのか、といったことは関係なく、また、それを確認することもなく、活用することだってあるのです。

日常生活をはじめとして、さまざまなことが楽になってきていることで、私は昔に比べてとても怠慢になっているなあと思っています。
昔はそれがなくても耐えられる、それなしでも平気でできていたことが、今ではそれがなくてはどうしようもない、生活できない、そんなものが増えていくということは、ある意味とても恐ろしいことだと思います。
そのことは、人間そのものが退化してしまっているということに他ならない。進化しているのは科学技術だけで、それによって恩恵を被っている人間が進化しているわけではない。つまり、人間が進化しているのではなく、退化していることを意味しているのではないかと思うのです。

哲学者 内山節氏はこんなことをいっています。 
「江戸時代は、個人がそれぞれ自分の喜びのためや自分の家族のためなど、自分の目的のために一生懸命働いていた。そうして、自分の利益を上げ、社会全体としての利益が上がり、結果として日本の経済が発展する。だからこそ、社会の発展が自分のものとして実感できる。
しかし、現代社会は、経済の発展がめまぐるしく、人々の意識がそれに追いついていない。経済発展に貢献しているのは一部の人であり、自分はその貢献に直接関与しているとは思えない。よって、経済発展への実感、満足感がない」と。

つまり、進歩していく科学技術によって生み出された道具の使い方に慣れることに精一杯で、自分自身の力で何かを生み出したり、現在よりももっと素晴らしい人間になれるように自分から困難な道を選んで努力をしたりするような人間が少なくなっていくのではないか、私はそのことを懸念しています。進化していく道具を使いこなすことであたかも自分が進化しているように勘違いをしている。しかし、進化しているのは科学技術であり、人はその恩恵を被ることで、逆に退化しているのです。

 現在、吉野源三郎氏の書いた「君たちはどう生きるか」という本がたくさん読まれているといいます。正確には、この本の漫画本が売れているということです。私はこの本を20年位前に、漫画本ではなく岩波文庫の本で読みました。漫画にならなかったら読まなかったかもしれない。漫画本になることで、おおぜいの人が読むきっかけができた、そうは思うのですが、漫画本になることで、文章が集約され、また、そこに、原著の作家以外の人間の思惑が挿入されます。ですから、文章だけの本の、その行間にただよう微妙な著者の思いを読み取るということができないのではないか、私はそのことをとても残念に思います。ですから、漫画本を読んだならば、それをきっかけに、是非原著も読んでほしいと思っています。

ところで、「人間はどうして勉強をしなければないのか?」子どもたちはそんな質問をすることがあります。その質問にはどう答えたらいいでしょうか。
今月のコラムは、その質問への答えとなるでしょう。文字通り「勉強」とは「勉めて強いる」ことです。脳を鍛えるために勉強をするのです。脳を鍛えるためには脳に刺激を与えなければなりません。その刺激が楽しいものばかりでは脳は進化しません。困難なことを乗り越えた先に喜びがある、勉強とはその繰り返し。そして、人生もその繰り返しなのです。そして、何度も立たされる人生の岐路。その選択のときに、楽な方ではなく困難な方を選ぶことができたら、きっとその先にはさらによりよい人生が待っている。そうできるようになるために勉強をするのです。

人として生まれたからには幸せに生きていきたいと思います。永遠に幸せな状態でいたいと思いますが、永遠に続くものは存在しないのです。また、環境は常に変化していくので、人は変化を受け容れることを要求されます。つまり、幸せに生きていきたいと思うならば、変化していく環境に適応しながら、なおかつ永遠に幸せな状態でいられるように努力を続けなければなりません。
「選択に困ったら、楽な方ではなく困難な方を選ぶこと」「変化を受け容れつつ、永遠に良い状態を維持しようと努力をすること」それが、人間が本当に進化をしていき、幸せに生きるために目標とすることではないか、私はそう思うのです。

※今月の写真は、飛行機から写した雪の富士山と、山種美術館内Cafe 椿のオリジナル和菓子です。川合玉堂展を記念して、玉堂の絵をイメージして作られた美しい和菓子達。
2018-02-01 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)

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