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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.83 私のめざすもの
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 日本から南に3,000キロ。南太平洋中央カロリン諸島ポンナップ島に、地球最後の航海民族と呼ばれる人々が暮らしています。彼らは、エンジンもコンパスもない木造の帆走カヌーを巧みに操り、目標物のない大海原でも「星」や「波」や「風」を頼りに、進行方向を見極めることができるのです。

 ポンナップ島には、電気も水道もありません。作物もイモくらいしか育ちません。そんなポンナップ島での一番の宝物は「ワーセレス=風の舟」と呼ばれる島の木で作られたカヌーです。魚つりや他の島への往き来をするために使われます。
 このカヌー、誰にでも乗りこなせるものではなく、「ポ」と呼ばれている男たちだけが扱うことを許されています。ポンナップ島には13人の「ポ」がいて、島に伝わる航海術をマスターした者だけが「ポ」として認められます。
 カヌーの動力源は「風」だけです。最高時速は約20キロで、「ポ」たちはこのカヌーで、数百キロの航海をします。「ポ」たちは波や風の向き、そして鳥たちが飛んでいく方向から進路を判断するのです。

 このポンナップ島の「ポ」の一人に、ジェシー・カイウス(44才)がいます。彼はかつてポンナップ島を離れ、パラオの大学で機械工学を学びました。モーターボートに興味を持ったからです。大学を卒業後、グアムの船舶会社に勤めましたが、一年でその会社をやめ、ポンナップ島に戻りました。自動で動く大型船にどうしても興味が持てなかったからでした。彼は、「中学までしかないポンナップ島を離れ、島の外でコンピューターなどの知識を学ぶことは大切だ」といっていますが、彼自身は、その上で、ポンナップ島で自分が身に付けた風や、星などの自然についての知識によって、自分の力で舟を動かすことの方を選択したのでした。

 私は、この彼の選択に深い感銘を覚えました。なぜなら、彼の選択は、私たちが現代社会において多くのものに依存している生活とは、対極にあるものだったからです。実際、私たちは、電気・ガス・水道など、多くのライフラインに依存して生活しているので、これらのものが存在しない生活など考えられません。もしも自然災害などによってこれらのライフラインが遮断されたら、たちまちパニックにおちいってしまうでしょう。そんな事態を想像した時、生きのびることができるのは、科学がうみ出した産物に頼らなくても、自然界に存在する星や風などの知識を自由自在に活用して生きることのできる人々なのです。
 人間は、本来、とてもすばらしい能力を持っていますが、それらの能力のほとんどを使うことなく死んでいきます。一部の人々の知識の産物によって、つまりは、科学技術の進歩によって、現代社会は進化していきますが、人々は、それに依存していくことで、その能力は退化していきます。

 「進化とは破壊だ」人間によって自分たちの住む島の自然を破壊されたボスザルのソロモンはいいます(『麦原博士とボスザル・ソロモン』岩崎書店)。一見、進化に見えることは、実際には、科学の進歩の産物に依存した人間が、本来ある自然のすばらしさに気づくことなく、楽な方向へと流され、退化していっている、ボスザル・ソロモンはそういいたいのです。
 人間が本来持って生まれた能力を本当の意味で進化させるためには、便利な機械や道具に頼ることなく、体のあらゆる機能をフルに活用していくという選択が必要になります。そして、その選択のためには、あえて、便利な道を選択しないという強い精神力が必要になるのです。

 私はかねてより、「人間の中には、どうして、自分の身を、厳しく、つらい状況におこうとする人たちがいるのか?」という疑問をもっていました。先月のコラム(コラムNo.82 2014/12/1)で取り上げた映画『大いなる沈黙へ』に登場する修道士たちもそうです。ポンナップ島のジェシー・カイウスと同じように、科学技術の産物に頼らない生活。自分の体と精神とを究極まで高めようとする生活。彼らの生活は、方法こそ違いますが、めざすものは同じであり、そのめざすものこそ、私がかねてより疑問に思ってきたことへの答であるような気がします。そしてそれはまた、私のめざすものでもあるのです。今年、私は、それに真剣にとりくみたいと思っています。
2015-01-05 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)

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