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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.76 ちょっとずつ背伸びをすることの大切さ
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 股関節を痛めてから、すでに1年が過ぎました。もともとは、生まれつきの股関節の障害からくる痛みですが、トライアスロンなどの過酷なトレーニングや無理がたたり、悪化を早めてしまいました。現在は、1年前に痛めた右足ではなく、左足のほうが痛みがひどくなりました。レントゲン写真を見る限りでは、右足の方の悪化がひどいのですが、「おそらく、右足をかばったせいで、左足が痛み出したのでしょう」という主治医の先生の診断でした。椎間板ヘルニアの持病からくる痛みもあるので、体中が満身創痍の状態で、時々、杖をついて歩いています。

 杖をついて歩いていると、自分と同じように杖をついて歩いている人に目がいきます。以前はそうでなかったのですが、自分が同じ立場になって初めて、気づかされたということでしょう。こうして、杖をついて歩いていると、ふと、杖なしで歩いている自分と同じくらいの年齢の人を見て考えてしまいました。もし、トライアスロンに挑戦したり、痛みをこらえてヨーロッパ旅行をしたりしなかったら、今頃、こんなふうに体を痛めることなく、普通に歩いていたのだろうな、と。しかも、今年の2月には、スイミングの効果があって、痛みが取れていたのに、つい調子に乗って筋トレを始めたことが、痛みを再発させた原因でした。

 何かを始めると、とことんまで追求し、そのために達成目標を立てて、それに到達するまで頑張る、というのが私の性格です。これまで、そうやって、たくさんの目標を達成してきたのです。股関節の痛みは、生まれつきの「股関節形成不全」という障害が原因であることがわかり、自分の力ではどうすることもできない「壁」だと思い知りました。ですから、その壁を乗り越えることは不可能であると理解してからは、共存する道を選択しました。それでも、つい、なんとか克服しようとして頑張る自分がいるのです。もし、私がそんな性格ではなかったら、こんな風に満身創痍にはなっていなかったでしょう。普通に歩き、普通に生活していたにちがいありません。

 そんな話をしていたら、ふと、その言葉を聞いていた友人がこう聞き返しました。
「じゃあ、原田さんらしい生き方ではなくて、他の人と同じように普通の生き方をしていた方が良かったと思いますか?」
 私は、何の躊躇もなくこう答えました。
「いや、これまでのさまざまな挑戦があるから、今の自分があるのです。だから、これまでの自分の生き方をまったく後悔はしていません。今の自分が好きですから」
 だから私は、これからも、自分の体が許す範囲で、さまざまなことに挑戦していくでしょう。

 ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授(京都大学IPS細胞研究所所長)は述べています。「細胞は経験を刻む」と。つまり、年を取っても、細胞は裏切らない、経験は報われるということです。何かに熱中したり、夢中になったりすると、たとえ年老いても、脳神経細胞の樹状突起スパイン(神経細胞の樹状突起から突き出ている小区画で、脳のほとんどの興奮性シナプスの入力を受け入れているトゲ状の隆起)の活性化が再び起きるというのです。
 人間は、地球上に生息する動物たちの中で、「唯一成長しようと努力する動物」です。だから、時として、人間は、成長しようとして無理をすることがあります。私のように、度を越して無理をすることはおすすめしませんが、でも、「背伸び」はした方が、人間、より成長できると思うのです。ちょっと、ちょっと、と背伸びをしているうちに、いつのまにか背伸びをしなくても、以前背伸びをしていた位置まで到達しているのです。 

 さて、朝の連続テレビ番組「花子とアン」。主人公のはなは、代用教員として故郷で働き始めました。なかなかいうことを聞いてくれない子どもたちを静かにさせるために、教室を抜け出して校外授業を行い、校長先生に叱られてしまいます。
 私も、小学校の教師をしていた頃、時々、子どもたちを連れて教室を抜け出したことがありました。霧島山の麓の小学校に勤務していましたから、自然が豊かで、子どもたちものびのびと育っていました。授業中に、ふと、教室から外を見ると、運動場を牛が走って横切っていたことがあり、その数分後に、その牛を追いかけて農家の方が走ってきた、そんな光景もありました。
 毎朝、学校に着くと、入り口のところで子どもたちが待っています。そうして、教材がいっぱい詰まった私の大きなカバンを教室まで運んでくれます。職員室に立ち寄る暇さえ惜しんで教室へ行きます。授業が終わって休み時間になると、私の机のまわりに子どもたちが集まってきます。昼休みにはいっしょに遊びます。時にはトイレまでついて来ます。

 そんなふうに、四六時中子どもたちといっしょの毎日が楽しくて楽しくて仕方がありませんでした。家に帰ると、授業の準備や、子どもたちの日記と宿題のチェック。そのまま、机の上で朝まで転寝をしてしまったこともしょっちゅうでした。許可をもらうことなく学校を抜け出して野外授業なんて、現在の学校教育では考えられませんから、今考えると、怖いもの知らずの新米教師でした。そんな新米教師の私がしでかした突拍子もない出来事も、他の先輩の先生方が、私の知らないところでしりぬぐいをしてくださっていたのだと思います。いつのまにか、クラスの花壇にたくさんの花が植えてあり、お隣のクラスの先生が植えてくださっていたのだとわかって、子どもたちひとりひとりに「ありがとうございます」の言葉を届けさせたりしたこともありました。こうして振り返ってみると、本当に、なにからなにまで子どもたちと、先輩の先生方に恵まれた教師時代でした。

 「倒れてから無理をしていたことに気づく」という性格のせいで、結局は体を壊してしまい、教壇を去ることになりましたが、そのことが、児童文学の世界に入るきっかけになり、今に至っています。そして、私の「倒れてから無理をしていたことに気づく」という性格は、今もまったく変わりません。それでも、なんとか無事に充実した人生を歩んでこられたのは、ひとえに家族を始め、私のまわりにいる人々に支えられてきたからだと思っています。

 このコラムを書き始めたのが50歳を過ぎた頃。コラムに自分の思いを綴り、人生を考えることで、孔子のいうところの「天命」を知ることができました。その私も、もうすぐ還暦を迎えますから、論語の「耳順」の教えに従って、自分の思いばかりではなく、人の言葉にも耳を素直に傾けられるようになれたらと思っています。 
2014-06-02 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)

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