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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.54 天翔ける龍の話
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 現在、『易経』にはまっています。『易経』は、中国最古の古典です。現代でも読み継がれている書としては、おそらく『書経』と並んで、世界最古の書であるといわれています。『四書・五経』の筆頭にあげられる儒教の経典であり、処世の智慧の書、哲学書、道の書、また「君子のための書」といわれ、帝王学の書でもあります。
 図書館に行って『易経』という単語で本を検索したら、膨大な数の分厚い本がヒットします。当然のことながら、私は、これらの原書ではなく、『易経』をわかりやすく解説した本を読んでいます。解説する人によって、ある程度の主観が入ったり、解釈の違いがあったりするかもしれませんが、私は、竹村亞希子さんという方が書いた本を読んでいます。その中には、「龍」が登場します。人の一生を龍の成長になぞらえ、人生において出現する「兆し」を読み取る大切さを説いています。もっと早くこれらの本に出会えていたら・・・、始めのうちはそう思っていましたが、読み進んでいくうちに、今のこの年齢であるからこそ、これらの本に出会え、心底共感でき、その深い内容を読み取ることができるのだと、妙に納得しています。

 易経においては、世の中に存在するすべての事象が「陰」と「陽」とにわかれ、その「陰と陽」も、「陰よりの陽」「陽よりの陰」など、さらに細かくわかれます。ずっと陰の状態であることもないし、ずっと陽の状態であることもありません。それを龍の成長にあてはめ、今の状態から、これから先の未来を見通していく術を教えてくれているのです。龍の成長が人の一生にたとえられるといいましたが、それは、長いスパンで見ることもできるし、短いスパンで見ることもできます。たとえば、子どもの成長にあてはめてみることにします。子どもとの毎日は、楽しいことばかりではありません。子育てにおいては、何度も壁にぶつかることがあるでしょう。その壁にぶつかっている状態を「陰」ととらえると、その陰の状態は必ずしも悪いことではないということなのです。それどころか、その今の陰の状態があるからこその、次への成長があるということです。そして、陰と陽を繰り返す中で、必ず変化への兆しが現れます。その兆しを読み取ることこそ、大切なことだというのです。最近子どもがいうことをきかなくなった、親としてそう感じたとき、いうことをきかなくなったのは、必ずしも最近ではなく、少しずつその兆候を見せていたと思われます。子どもが急に変化するということはないからです。結果的に、それは反抗期の反応であり、成長の証であったと考えられることもあるし、子どもからの「SOS」であることもあります。

 最近見た映画で、久々に心が大きく動かされた映画がありました。『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』というタイトルの映画です。「9.11」のテロ事件において、父親を失った少年が主人公の話です。世界中を震撼させた、あの悲劇が起こった日に、たまたまワールドトレードセンターに仕事できていた少年の父親が事件に巻き込まれてしまいます。命を失う直前まで、父親は留守番電話にメッセージを残し続けます。少年は、事件後、しばらく足を踏み入れることができなかった父親の部屋に入り、クローゼットからひとつの鍵を見つけ出します。そして、その鍵と、どこにあるのかわからないその鍵に合う鍵穴を探すことが、父親との失われた絆を再確認する手がかりになると考え、鍵穴探しを始めるのです。その過程で、少年は、すべての行動を母親に秘密にします。学校が休みの土曜日と日曜日。少年は、実に緻密な計画の元、マンハッタン中を、鍵穴を求めて歩き回ります。その中で感じる焦燥感や絶望感から、母親に対して、「お母さんは何にも知らないくせに」「お父さんじゃなくてお母さんが死ねばよかったのに」というような、心にもないひどい言葉をぶつけるのです。
 大切な伴侶を失って、少年以上に心が壊れかけているはずなのに、母親は、そんな少年に対して「そうかもしれないわね」とひとこと答えます。その言葉には、少年への愛情に基づいた深い意味があるのですが、少年はそれが理解できません。少年は、それからも、いくつもの嘘をつき、その嘘の数を増やしていきます。
 この映画の中での、サンドラブロック演じる母親の行為こそ、少年が抱えた心の変化や痛みを無条件に受け入れた、本当に大きな、親としての愛情なのだと思い知ります。息子の行動をつぶさに見つめ、信じ、それゆえに、距離を置いたところから心を鬼にして見守ることができるのです。
 少年は、いくつもの壁にぶつかりながらも、その壁を乗り越え、ついには鍵穴を見つけ出します。あまり詳しく書いてしまうと、映画への感動が薄れますので、ぜひ、DVDを借りてご覧ください。

 額面どおりに受け取れない思春期の少年の言葉。心と裏腹の行動。その本質にあるものを見抜けるのは、ひとえにそこに行き着くまでに積み重ねてきた親子間の愛情と信頼だということです。「うちの子は親に逆らわないとてもいい子」それは、親の前では「陽」の部分だけを見せているのかもしれません。「いつも口答えしてばかりて困った子」それは、お母さんの前では「陰」の部分を見せているだけで、本当はお母さん思いの優しい子どもかもしれません。表面的には現れない部分にこそ、大切なことが隠されています。だからこそ、少しの変化にも、何らかの兆しを感じ取り、本質を見極めることが大切なのでしょう。
 人生はいつも「陽」の状態ばかりではない。いつも「陰」の状態ばかりではない。変化があってこその人生であり、だからこその、「成長」「成功」なのです。私のつたない説明で、果たして「易経」の面白さをどれほど伝えられたか自信がありません。あとは、興味をもたれた皆さんがそれぞれに思うままに、「易経」に触れてほしいと思います。

 この映画の舞台となったニューヨークのマンハッタンという街は、私がかつて住んだ街でしたので、様々な風景が出てくるたびに、色々なことが本当に懐かしく思い出されました。ダウンタウンに聳え立っていたワールドトレードセンターのツインタワーは、今はもう存在しません。このビルの周辺にはよく行ったものでしたから、まさにランドマーク的な存在であったあの背の高い二つの銀色のビルが消えてしまったことを、いまだに受け入れることができません。また、セントラルパークや、ごく普通の街並みにさえ、いいようのない懐かしさを感じます。それは、私がこの街で、様々な経験をし、たくさんの収穫を得たからだと思っています。数え切れない出会いがあった分だけ、失敗や、苦い思いや、悔しい思いもたくさんしました。しかし、そんな「陰」の経験があったからこその、それにも勝る、人生観さえ変えてしまうような「陽」の収穫を得ることができたのです。だからこそ、自信を持っていえることは、「この世に無駄な経験は何ひとつない」ということでしょう。
  
 お子さんたちは、大人の私たちから見たら、無駄に思える行動をたくさんするはずです。そんな無駄な道を歩まずに、壁にぶちあたることなく、近道を進ませたいと思うかもしれません。でも、無駄に思える「陰」の時間が長ければ長いほど、その後に来る「陽」の時間も長くなるのです。思わず口出しをしたくなる子どもの行為も、積み重ねてきた愛情と信頼に自信を持って、「ぐっ」とこらえて見守る、そんな子育てができたら、親も子もいっしょに成長できる気がします。

2012-08-01 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)

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