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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.15 言葉の魔力
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 取材のために奈良に行った時のことです。近鉄奈良線の車内で、私の座っている隣に、男の子が一人で乗り込んできました。小学校低学年くらいに見えます。彼は、カバンから分厚い本を一冊取り出すと、静かに読み始めました。その本は、『ハリー・ポッター』でした。文字通り、挿絵がほとんど存在しない、文字ばかりの本です。たぶん、昨日、もしくはさっきまで、読んでいた続きを読み始めたのでしょう。たちまち、彼はお話の中に引き込まれていってしまいました。
 私は、その光景を見ながら、本当に嬉しくなりました。なぜなら、文字しか存在しない、こんな分厚い本を、小学校にあがったばかりに見える子どもが、くいいるように読んでいるからです。子どもの活字離れが深刻な問題になっているといわれていますが、本が、こんなにも子どもの心を虜にするのだと思うと、子どものお話を書いている私は、なんだかとても幸せになるのでした。
 この男の子の頭の中では、ハリー・ポッターが、ハーマイオニーたちとともに、魔法学校の授業を受けているのだろうか、それとも、今、まさに、宿敵ヴォルデモートと戦っているのだろうか、私は思わず男の子の読んでいる本をのぞきこんでしまいました。

 本を読むという行為は、以前、このコラムでも述べてきたように、自分から働きかけなければ決して成立しません。本を手に取り、表紙を開き、字面を追っていって初めて成立する行為です。
ただの紙の束に見える「本」というものが、無限の魅力を持っているのだということを、幼い頃に知ることができた子どもたちは幸せです。本を読むことによって物語の中に引き込まれた時、子どもたちは、実際には決して行けない場所に行け、決して会えない人にも会えるのです。蟻の大群のようにしか見えない文字の集合体は、作家という書き手の魔法によって、読む人の心に想像力という翼を与え、どんな世界へも、どんな時代へも飛んでいくことを可能にしてくれるのです。

 皇后美智子さまが書かれた『橋をかける』(すえもりブックス 刊)という本の中にも、幼い頃の読書の大切さが説かれています。ここにその一部を引用します。
「本の中で、過去現在の作家の創作の源となった喜びに触れることは、読む者に生きる喜びを与え、失意の時に生きようとする希望を取り戻させ、再び飛翔する翼を整えさせます。悲しみの多いこの世を子供が生き続けるためには、悲しみに耐える心が養われると共に、喜びを敏感に感じとる心、又、喜びに向かって伸びようとする心が養われることが大切だと思います」
読書によって得られる翼は、想像の世界へと飛び立つことを可能にすることのみならず、生きる力の元を与えてくれると語っています。

 私は本を読みながら、いまだに初めて出会う言葉が数多くあります。そんなとき、私は、言葉の世界というものは本当に無限なのだなあと思ってしまいます。そういえば、先月のコラムを読んでくれた大学時代からの友人が、メールでこんなお返事をくれました。とても素敵なひとつの単語について教えてくれたので、ここにその一部をそのまま引用します。
「『そつたく』という言葉があります。『そつ』は、口へんに卒業の卒、『たく』は啄木の啄です。卵の殻を外からつつく親、内からつつく子の様子を表している言葉です。出産後の原田さんとお子さんの様子を読んでいて、ふと思い出しました」
彼は、「出産の経験はないけれど・・・」といいながらも、自分の子どもと照らし合わせて、「原田さんの思いに、そうなんだ、そうなんだよなあ、と深く感じながら読みました」と書いてくれていました。
「そつ啄(そつたく)※」またひとつ、未知の単語を覚えました。「ありがとう」

 誰かに何かを伝えたい時、まさにぴったりの言葉でそれを表現することができたら、とても素敵なことだと思います。いくつもの光る言葉が自然に身につき、しかもそれを自在に操れたら、その言葉を受け取った人が、あなたと話をすると本当に幸せな気分になれる、元気をもらえる、そんなふうに感じてくれるでしょう。以前、一年ほどマンハッタンに住んでいたとき、私も、こんなふうに勇気をもらった言葉があります。自分から進んで英語で会話することができない私に、アメリカという国で、初めて知り合いになった女性が言ってくれた言葉です。
「速く流暢に話すことが大切なことではありません。あなたはきちんと英語を勉強しているのだから、自信を持って。自分の思っていることを相手に理解してもらえるように、ゆっくりでいいので、心をこめて話してごらんなさい」
 私は、彼女のその言葉に勇気をもらい、少しずつ英語の世界に溶け込んで行きました。そして、マンハッタンを舞台にした子どものためのお話を書き溜めては、彼女に会うたびに英語で話して聞かせました。お別れの日。そしてそれは、私の作ったお話を、彼女に話して聞かせる最後の日でもありました。彼女は私にこういいました。
「あなたに会えて本当によかった。あなたが私に話して聞かせてくれたお話が、いつか本になる日を私は楽しみにしています。」
 それから五年後、私の書いたお話は、『麦原博士の犬語辞典』というタイトルで、岩崎書店から出版されました。私は、本のあとがきに、彼女、ミス・パーカーへの感謝の言葉を述べ、本にサインをしてマンハッタンの彼女の元に送りました。彼女からの手紙は、本が完成したことの喜びで溢れていました。そして、最後にこう書かれていたのです。
「I am proud of you = あなたを誇りに思います」
 この言葉は、常に私の心の中にあり、私を、内側から照らし続けてくれています。

 言葉は魔法の力を持っています。本の中には、人にたくさんの恵みをもたらす言葉がたくさん詰まっています。「I am proud of you」そんな言葉を自分のものとして、人に伝え、人を幸せにできたらとても素晴らしいことです。
「そつ啄(そつたく)※」今回、このコラムを媒体にして、またひとつ私のボキャブラリーが増えました。たった一つの言葉で、なんだか心がとても豊かになったような気がします。そして、そんな言葉を伝えてくれる友人がいることは、もっともっと人生を豊かにしてくれるようです。

※そつ・・・口へんに卒
2009-05-01 更新
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