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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.149 心が強くなるとき
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 私にとって今頃の時期が精神的に一番複雑な(苦しい)ときです。
 幸いにして、昨年作り上げた作品は、すべて日の目を見ることができました。それらは活字になって、公の人の目に触れることができ、そして、本という形で永遠に残ります。そして、また今年新たに作品作りに励むのです。

 4月という新しい年の始まりに、3月までの1年をリセットし、新しい作品作りに入ります。作品の構想はたいてい頭の中にあり、それを目に見える形、つまり文字にしていきます。作品のできあがりの目標時期は秋ですから、そこに向けて作品を完成させていくのですが、今がちょうどその中間地点。作品の仕上がりのメドがついていればいいのですが、たいていはそうではなく、壁にぶつかっているのが今の時期です。案の定、4月から書いてきた作品が80枚近くのところで、ペンが止まり、大きく方向転換、というより最初から書き直し、という状態に陥っているのです。
 どうして、そんな状態になっているかというと、「視点を変えた」からです。今回の作品も、自分の頭の中にある構想を元に、思うがままに書き進めていましたが、ふと、視線をそらした先に、私の尊敬している大好きな「かこさとし先生」の本が目に入ったのです。まるで神の啓示のように先生の遺言である「子どもさんをあなどるな」ということばが降りてきたのでした。私の頭の中に「今書いているお話って、子どもたちが読んで面白いと思う?」という問いかけが起こりました。それきりペンが止まってしまったのでした。

 私は、40年くらい前、童話を書きはじめた頃に読んだ、後藤楢根先生の『童話実作入門』という本を取り出してみました。生まれて初めて書いた童話作品が小学館主催の「わが子に贈る創作童話コンクール」で佳作となり、それをきっかけに真剣に童話を書くようになって、初めて手にした「童話創作のための本」でした。

 そのころ、私は教師を病気退職し、「生きる屍」のようでした。子どもたちに囲まれた、楽しく充実した教師生活から病気によって生活が一変したのです。そんな私がたまたま新聞で童話募集の記事を見つけ、書くことに生きる希望を見い出したのです。 
 死んだように生きている私を心配していた夫は、初めて書いた童話が入選したことを、自分のことのように喜び、「君には書く才能があるんだよ」と必死で励ましてくれました。そんな夫のおだてによって、私は少しずつ文章を書き始めた頃でした。
 あれから40年、私は書き続けてきたわけですが、やはり、この時期がくると「壁にぶつかる」のです。そのたびに「初心を思い出す」意味でも、後藤先生の書かれたこの本を取り出してはかつての自分をふり返るのでした(幸運なことに、現在ではアマゾンなどのおかげで絶版になった本も手に入れることができます。この本もアマゾンで5年位前に手に入れることができました)。
 また、大好きな安房直子先生の『ハンカチの上の花畑』という本を取り出して、読み直したりもしました。この本は何度読んでもドキドキします。私はこの本を読むたびに、「いつかこんなお話を書いてみたいなあ」と思うのです。そして、私が今書いているお話はこの本とはほどとおいなあ、と自己嫌悪に陥ってしまうのでした。

 私の夢は「子どもたちが読んで幸せを感じる本を書くこと」です。「この本に出会えて本当に良かったと思ってもらえる本を書くこと」です。最近ではとくにそのことを意識して書いています。だから余計に壁にぶつかり、ペンが止まるのでした。
 でも、思いっきりポジティブな私はそのたびに思うのです。「これは私が以前よりレベルアップしている証しである」と。もし、私がただなんとなく生きていたら、何も考えずにただ書いていたら、絶対にぶつからない「壁」だからです。より成長したい、より素晴らしくなりたい、そう思っているからこそぶつかる「壁」なのです。
 考えてみると、成長できたと感じるときは、必ずその前に壁が立ちはだかってもがいています。試練があるのです。その壁を、その試練を乗り越えたからこその「成長」なのです。

 今という時期は、地球規模で考えると、まさに試練の時期のような気がします。ことに多感な子どもたちにとってはそういえるかもしれません。思い出多き卒業式や胸躍る入学式、そして、さまざまな実り多い行事を中止され、「どうして私たちだけ?」そう思っている子どもたちがほとんどでしょう。「さびしい」とか「つらい」だけでなく、「悔しい」、そんな思いで心はいっぱいにちがいありません。
 そんな心の状態でいることは、一見マイナスの結果を生み出すように思えるかもしれませんが、決してそうではありません。「ピンチはチャンス」、私はいつも壁にぶつかるとそう考えることにしています。今の時期に、心に抱えたさまざまな思いは、いつか将来に必ず大きなエネルギーになります。そんな思いを経験できなかった子どもたちよりもずっと輝く未来が約束されているのです。おそらく同じような思いをかかえて共感できた子どもたちは、その結びつきがよりいっそう強くなるでしょう。今ここに居ることが「奇跡」以外のなにものでもないと、実感できるでしょう。
 家族がみんな元気なこと、クラスメイトに教室で会えること、学校で勉強できること、そして何より自分が生きていること、すべては「奇跡」であり、あたりまえのことではないのですから。そのことを実感できたことはこれから大人になっていく上で、本当に大切なことなのです。今までは何も感じることなく過ごしていた時間が、本当はとても貴重な「ひととき」であると実感できたなら、毎日やってくる24時間という1日は、奇跡の時間の集まりであるとわかるでしょう。命の大切さも理解でき、きっと1日1日を大切に生きていけることでしょう。

 さて今月は、こんな時期だからこそ読んでほしいお薦めの本を紹介します。
『からすたろう』(やしまたろう作)
息子に読み聞かせをしていたころ読みながら泣きました。
『木を植えた男』(ジャン・ジオノ作)
どんな素晴らしいことも、ひとつひとつの積み重ねによって成し遂げられていることを理解できます。
『おしいれのぼうけん』(ふるたたるひ、たばたせいいち作)
子どもたちが抱えている心の中のくらやみをのぞけるかもしれません。
『ハンカチの上の花畑』(安房直子作)
私の大好きな童話。読んでいくうちに少しずつ胸騒ぎが起こる本です。

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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)
『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集)
『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集)
『四季通り路地裏古書店』(2019みやざきの文学「第22回みやざき文学賞」作品集)




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