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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.141 まっくろくろすけを見た私
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 子どものころ、私は「まっくろくろすけ」に出会いました。勝手口から台所に通じる土間の、天井裏に忍び込んだときのことです。今考えると、「すすぼこり」の固まりが隙間風のせいでコロコロと転がった、ただそれだけのことだったのですが、当時の私は、「なんかへんな生き物がいる」そう思って、たいそう驚いたのを覚えています。
 宮崎駿監督の映画『となりのトトロ』を観たとき、「そうか、あの時見たのは『まっくろくろすけ』だったのか」そう思って、妙に納得した私でした。

 私が生まれたのは、400坪ほどの土地にお花畑やプールがあり、それを囲むようにして建っている、そんな家。祖父母、両親、叔父叔母を含め、家族は10人以上。その他にも住み込みの従業員や下宿人を合わせると、30人以上の大所帯でした。
 犬や猫、ウサギなどの動物もいっしょに暮らし、考えてみると、私の子ども時代は、いくつもの童話(:子どものためのお話)が書けそうな環境なのでした。

 本好きの父や叔父、叔母のおかげで、家には溢れるほどの本があり、私はいつも活字に囲まれて生活していました。2歳になる頃には文字も読め、私の本好きの原点はまさしく、幼年時代に暮らしたこの家にあったのでした。そんな私が、まっくろくろすけに出会えたのは、当然といえば当然のことでした。
「まっくろくろすけ」といえば『プレシデントFamily2019[秋]号』に興味深い記事がありました。「親の過干渉が子どものセンサーをオフにする:まっくろくろすけに出会える子に」、そんなタイトルで、哲学研究者の内田樹氏が書いた記事です。
 その記事の中で、内田氏は、「現代の子どもたちはノイズの多い環境に置かれていて無意味な入力が多すぎるので、自衛のためのセンサーがオフになる傾向がある」と警告をしています。「何もない世界に身をおき、センサーを研ぎ澄ますことが大切である」というのです。そのためには、「自然の中に身を置くこと」や「ノイズのない調った空間で書物を読むこと」が大切であると説きます。以前、コラム121『宮崎県に住む若いお母さんたちへ』で、子どもたちが健全に賢く育つための三つの条件」として、

1.子どもが体全体を使って自由に遊び、触れることのできる自然環境
2.愛情をいっぱい注いでくれる人間とのコミュニケーション
3.知的刺激を与えてくれる環境:知的刺激を与えてくれるという意味で本など

 そう書きましたが、まさに私が常々考えていたことと同じだと思いました。余りにも便利になりすぎた環境の中で、子どもたちが自分から何かに働きかけようとする前に、たくさんの有り余る刺激にがんじがらめになっているように思えるのです。現代の子どもたちを取り巻く環境を憂えているという意味では、私も前述の内田氏とまったく同じ考えを持っています。このことに関しては、別の機会に、もっと深く掘り下げてさらに詳しく書いていきたいと思います。

 さて、先月は「いちご組隊長就任」について書きました。息子の幼稚園時代は、先述の三つの条件をすべて満たしていました。ですから、息子にとって、幼稚園での生活は本当に楽しいものだったことでしょう。
 しかし、親である私にとっては、おそらく人生で一番悩まされた時期だったといえるかもしれません。そして、このときの経験が、私を大学院進学へと導いてくれたのです。

 以前のコラムでも書きましたが、私は息子の幼稚園選びにあたって、5箇所ほどの幼稚園を息子といっしょに見学しました。しかし、息子はどの幼稚園も気に入らず、こうなったら1年保育でもいいか、幼稚園入園は1年見送ろうか、などと思っていました。
 そんな矢先、私が大学時代に過ごした研究室が取り壊されることになりました(当時、研究室は大学の付属幼稚園の二階にあり、この幼稚園が建て替えられることになったのでした)。古い校舎で、その回りには背の高い木が何十本も立っており、夏休みになると、子どもたちが蝉捕りに来て、私も子どもたちと一緒によく蝉捕りをしました。
 私はなつかしの学び舎の記念写真を撮るのをかねて、息子と蝉捕りに行きました。写真を撮り終え、蝉捕りをしている息子をよそに車の中で寝ていると、息子が車の窓をたたいて私を起こします。そしてこういうのです。「お母さん、ここ、幼稚園だよね」と。
そして、さらにこう続けたのです。「ぼく、この幼稚園がいい」と。

 その言葉は、私にとって晴天の霹靂ともいえるものでした。なぜなら、学生時代、幼稚園の二階にある研究室から幼稚園のようすをながめながら、「私が親になっても、この幼稚園には絶対に子どもを入れたくない」そう思っていたからでした。その理由は、親の負担が大きすぎるように思えたからです。毎日毎日、親が子どもを幼稚園に連れてこなければならず、しかも、幼稚園は午前中には終了。またもや親たちは子どもを迎えにこなければなりません。私はなんとか息子に断念させようと試みました。
「この幼稚園に入るためには試験を受けなければならないんだよ」、そう息子に話すと、「ぼく、試験を受けるよ」というのです。結局、一次試験、面接とクリアし、最後のくじ引きに至りました。「神様、息子のことを考えたら合格、私のことを考えたら不合格を」そう心に念じながらくじを引きましたが、神様は息子の希望をかなえたのでした。 

 その神様の思惑通り、息子にとっては天国のような幼稚園でしたが、私にとっては地獄のようでした。一年経つころには、私は円形脱毛症を発症していました。想像していた以上に、幼稚園での雑事に自分の時間を取られ、また、信じられないような出来事が母親たちのあいだで繰り広げられていて、それは私にとって異次元の出来事のようでした。「子どもへの過剰な期待」「親の過干渉」といった母親たちのそんな行為を見るにつけ、「子どもが元気で賢く育つには、親として子どもにどんなかかわり方をしたら良いのか?」そんな疑問が次第に大きくなっていきます。(つづく)
2019-11-01 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)
『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集)
『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集)




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