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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.159 物語の神様が降りて来る時!
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
「どんなときに物語の神様が降りてくるのですか?」
 質問の言葉は違えども、その主旨は同じ。私が物語を書いていることを知った人からよく尋ねられる質問です。文章を書くことが大好きで、むしろ文章を書くなといわれたら耐えられない。そんな私にとって、文章を書くことは呼吸をすることと同じくらい生きていくために必要なことです。
 どうして文章を書くことが好きなのか?考えたこともなかったけれど、ずいぶん以前に福岡県に住んでいる大好きな叔母からいわれたことがあります。
「あなたのお父さんは作家になりたかったのよ」と。

 私の家は大家族で、祖父母、父母、叔父や叔母、住み込みの従業員、下宿人と、総勢30人以上の人間が400坪ほどの敷地に暮らしていました。家にたくさんの本があり、私はいつも家族の誰かに読み聞かせをしてもらっていました。ですから私は、2才の頃には文字が読めるようになっていたそうです。そんなことを考えると、「作家になりたかった」などと微塵もそんなそぶりを見せなかった父の、DNAのなせる業が導いてくれたのかな、などと思っています。

 さて、先ほどの質問に対する答え。私の最初の単行本。大好きな岩崎書店から出版された『麦原博士の犬語辞典』。この物語が生まれたきっかけをお話しましょう。

 1985年。その年、茨城県つくば市で「科学万博つくば」が開催され、私は国際科学技術博覧会協会のコンパニオンをしていました。宮崎の家を離れ、単身赴任生活。しかし、夫のニューヨーク長期出張が決まり、私は万博のフィナーレまであと2ヶ月を残してコンパニオンの仕事を中途退職、夫とともにアメリカに渡ることになります。研修期間を含め、半年以上のコンパニオン生活でしたが、さまざまな経験ができました。そして、それからのアメリカでの生活は、それ以上のたくさんのものを私にもたらしてくれたのでした。

 1年近いニューヨークはマンハッタンでの生活。コラムでもたびたび書きましたが、メンターともいうべき人との出会い、コロンビア大学での英語教室などなど、私の人生観を大きく変えるような出来事ばかりでした。美術館での絵画の鑑賞が旅行先での恒例行事となったのも、美術館がたくさん存在するマンハッタンで生活したからでした。そして、何よりの収穫は、そののちに本として出版される作品の原作を完成させることができたことでしょう。そう、『麦原博士の犬語辞典』はここでの生活で生まれたのでした。

 私達が暮らしていたのは、夫が勤めるコロンビア大学のすぐ近くのアパートでしたが、住人の中には犬といっしょに生活している人がたくさんいました。また、街を歩けば、必ず犬と散歩している人たちに出会います。その犬と人間の仲の良さたるや、毎回感動する機会が多々ありました。ですから、『麦原博士の犬語辞典』に登場する犬たちはそのとき実際に出会った本当の犬たちがモデルになっていたのでした。アパートの住人のネイティブアメリカンの男性とラブラドール・レトリーバー、コロンビア大学のキャンパスを毎日散歩させている老婦人とチワワ、リバーサイド・チャーチの花畑でいつも出会う女性と盲導犬を引退したゴールデン・レトリーバーなど、物語に登場するのはすべて実在の犬と人間たちです。

 あるとき、スーパーの前でご主人を待っている犬に出会いました。マンハッタンで出会った犬たちはさすがに家の中で飼われているので、お行儀がよく、ちゃんと躾けられています。その犬もやはり、お行儀よく座って、ご主人が買い物を終わって出てくるのを待っていました。
 私がスーパーに入る少し前にご主人らしき男性が店から出てきました。その犬は嬉しそうに飛び跳ねます。男性が何か犬に向かって話しかけました。するとどうでしょう?犬は飛び跳ねるのをやめて首を横に振ったのです。私は驚きました。男性がまたひとこと話しかけました。するとまた首を横に振りました。「うーん、こまったなあ」、そんな素振りを見せた男性は、「よし」という顔をすると、また犬に話しかけました。すると、今度は「うん」というように頷くと、嬉しそうに飛び上がったのでした。そして、嬉しそうに男性の横にぴったりとくっつくと、喜び勇んで去っていきました。
 その光景はまるで、
「よし、待たせたねえ。さあ、家に帰るか?」
「いやだ。まだ散歩したい」
「だけど、今日は早く帰らなくちゃ。我慢してくれよ」
「いやだ、まだ散歩し足りない」
「わかったよ。じゃあ、すこしだけだぞ。ちょっと遠回りして川沿いを散歩して帰るか」
「やったあ、うれしいなあ、さあ、早く、行こう、行こう」
 そんな感じでした。二人は(ひとりと一匹は)本当にそんなふうに会話をしているようでした。私は感動して思わずその光景をずっと見ていたのでした。そして、その日の日記にその光景を描写したのです。

 そのとき、私は本気で思いました。「犬は人間の言葉がわかるのに、人間は犬の言葉がわからない。ということは、犬は人間より賢いのではないか?」と。そして、たくさんの犬たちとの出会いの記録が物語へと発展していくのです。

 物語の神様は、こんなふうに何かに心が突き動かされたとき降りてきます。感動したことを書かずにはおれない、そんな気持ちにさせるのです。ですから、私はいつも思うのです。感動する気持ちを常に持っていようと。そうすれば、先月のコラムでも書いたように、意識しなくても無意識のうちに物語の神様が降りてくるように行動のベクトルがそれに向かうのです。

 書くことが大好きな私。その原点は、父のDNA、家族などなど、ずいぶん幼い頃からの環境にあったのだ、今になってそう納得している私なのです。

※今月の写真は、私が出会った犬達です。ニューヨークに住んでいた頃は、現在のように携帯電話がなかったので、その当時に出会った犬達の写真がないのが残念です。
2021-04-30 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)
『ソラリアン・ブルー絵の具工房』(2016 みやざきの文学「第19回みやざき文学賞」作品集)
『おひさまがくれた色』(2017みやざきの文学「第20回みやざき文学賞」作品集)
『HINATA Lady』(2018みやざきの文学「第21回みやざき文学賞」作品集)
『四季通り路地裏古書店』(2019みやざきの文学「第22回みやざき文学賞」作品集)




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「彩木瑠璃の癒しの庭」 http://ameblo.jp/akylulu/
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「巴里アパルトマン生活を夢見て」 http://blog.goo.ne.jp/saikiruri


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