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体で感じる・心が育つ
こどもに関するコラム集!専門家がコラム・情報を掲載しています。
 
No.100 すきとおったほんとうのたべもの
原 田 京 子 ( 児童文学作家 )
 私は今、ある課題を自分に課しています。その課題とは、「原稿用紙5枚の童話を書く」というものです。これまで、たくさんの童話の作品を書いてきましたが、いずれも10枚以上。どちらかというと、30枚とか50枚とか、ときには200枚以上といった長い作品ばかりでした。今回、どうして5枚という短い作品に挑戦するかというと、短い作品は、長い作品よりもある意味難しいからです。長い作品なら、言葉をいくらでも駆使して言いたいことを書けますが、5枚の作品となると、必要最低限の言葉数で、あらゆる無駄な言葉を排し、物語の起承転結をまとめて作品を完成しなければならないのです。

 短いからといって、読みやすいとは限りません。短くても面白くなければ読む気にならないでしょう。逆に、お話が面白ければ、『ハリーポッター』や『ゲド戦記』のように、何百ページの長編物語であろうと、何巻もの続き物であろうと、ついつい時間を忘れて先を読み進んでいきたくなります。ですから、この「原稿用紙5枚の童話を書く」という作業は、私にとってとても良い勉強になります。ただ、この作業は難しいだけに、たびたび壁にぶつかります。物語をどう書き進んでいったらよいのかわからなくなるのです。
 そんな時、私は、自分を鼓舞するために、いつもある文章を読むようにしています。それは次の文章です。

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 わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
 またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。
 わたしは、そういうきれいなたべものやきものをすきです。
 これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで虹や月あかりからもらってきたのです。
 ほんとうに、かしわばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたないということを、わたくしはそのとおり書いたまでです。
 ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだか、わけのわからないろころもあるでしょうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
 けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。
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 この文章は、宮沢賢治が、大正12年12月20日、『注文の多い料理店』という作品のまえがきとして書いたものです。私は、この文章が大好きです。宮沢賢治がこの文章の中でいいたかったことは、「子どもたちにとって心の栄養となるような物語を書きたい」ということであると私は思っています。そして、私の目指すところもそれと同じところなのです。だから、この文章を読むと、どんなに壁にぶつかっても、めげずにもう一度物語を書くことに挑戦してみようという気になるのです。

 宮沢賢治の作品は、死後にその作品群に光が当たり、没後80年以上たった今でも輝き続け、人々に愛されています。この宮沢賢治の作品の中で、私が特に好きなものは『虔十公園林』という物語です。この物語の主人公は、知恵が足りないと、周囲から馬鹿にされている虔十という名前の少年です。虔十は、家の裏手に杉苗を700本植えることを思いつきます。虔十の生まれて初めてのわがままということで、父親は、虔十の願いをかなえてやります。その杉を育てる過程でさまざまな困難にあいますが、杉は林となり、子どもたちの格好の遊び場となったのを見届けて、虔十は病気で亡くなります。20年後、昔の面影を失ってしまった街の中で、虔十の林だけはかつてのままの姿で残り、人々にとって貴重な場所となっていたのです。この林は「虔十公園林」と名付けられ、永久に保存されることになります。
 人から知恵が足りないと馬鹿にされている主人公が、コツコツとひとつのことを続け、やがてはそれが人々のために役立つような価値あるものになる、そんなお話ですが、宮沢賢治の作品以外にも、私の好きな作品として、『風祭金太郎』(今西祐行作)や『からすたろう』(八島太郎作)があり、これらの作品は、『虔十公園林』と共通するものがあります。それは、主人公が、「人から馬鹿にされていること」、「ひとつのことをずっと続けていること」、そして、もうひとつは、「それらの主人公に良き理解者がいた」ということです。

 こうやって考えていくと、結局はいつも同じ結論に達します。つまり、人として成長していく上で大切なことは、「自分が一生打ち込めるような好きなことを見つけること」「その好きなことを続けること」「それを理解し、手助けをしてくれる人が存在すること」ということです。このことは子育てにおいても、とても大切なことだといえます。

 その大切なことを心に留め、子どもたちを取り巻く環境のめまぐるしい変化を考慮しながら、私は子どもたちの「心の栄養」つまりは「すきとおったほんとうのたべもの」となるような物語を書いていきたいと思っています。
 毎日の移動が、「歩き」と「自転車」である私は、自動車ならばあっという間に通り過ぎてしまう景色も、ゆっくりと眺めることができます。ですから、これからはさらに目線を子どもたちの目線まで下げて、また違った角度から景色を眺めて見たいと思っています。

※今月の写真は、アメリカ大陸を横断した息子が、旅先から送ってくれた写真たちです。
2016-06-01 更新
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著者プロフィール
原田 京子(はらだ きょうこ)
1956年宮崎県生まれ
大学院修士課程修了(教育心理学専攻)

【著書】
児童文学
『麦原博士の犬語辞典』(岩崎書店)
『麦原博士とボスザル・ソロモン』(岩崎書店)
『アイコはとびたつ』(共著・国土社)
『聖徳太子末裔伝』(文芸社ビジュアルアート)
エッセー
『晴れた日には』(共著・日本文学館)
小説
『プラトニック・ラブレター』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『ちゃんとここにいるよ』(ペンネーム彩木瑠璃・文芸社)
『タイム・イン・ロック』(2014 みやざきの文学「第17回みやざき文学賞」作品集)
『究極の片思い』(2015 みやざきの文学「第18回みやざき文学賞」作品集)

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「彩木瑠璃の癒しの庭」 http://ameblo.jp/akylulu/
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